イルミ ページ16
【アシ】
オフィスから窓を覗いてみればザーザーと降る雨。
あぁ、億劫だな。
能無しの上司を持つと優秀な部下は帰りが遅くなる。
こういうどんよりした日は不謹慎にもみんな死んでしまえと思ってしまう。
プルルルと振動する異質な携帯。
「はい、もしもし」
「まだ終わらないの?
傘もって待ってるんだけど」
「イルミ…。ごめん。
すぐ下りるね、じゃ。」
途中だった仕事も、彼からの電話で諦めがつく。
だって、面倒くさがりな彼が私を心配して迎えに来てくれたんだもの。
「あれ?」
窓から見えるのはイルミと…知らない女。
きっと絡まれてるんだ、いつものように。
あー、もう、仕事なんてやめようかな。
強化ガラスの窓を割り、飛び降りる。
「聞きなさい、天啓を授けます」
いつだかのセリフ。
念能力。
凄いスピードで落下していく私に驚く女と、珍しく表情を変え苦笑するイルミ。
「へ、あ、や、な、なに!」
「雨日和、神は目がくらんで今世をみれない。
神に信頼されている私が唯一悪事を働いても許される日。死になさい。」
「いつか、天罰が下るよ。
ま、行こ。」
不謹慎だなー。そんなこと、イルミがいるのならなんだっていいのに。
(ーーー不謹慎、神の信頼)
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作者名:ヴィズ | 作成日時:2018年10月2日 0時