ストイックな彼 2 (ページ32)

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「話ってそれだけですか？」

「…そうですけど。
はっきり言って北山さん、邪魔なんですよ」

コツコツ、とヒールの音をたてながら
近付いて来た彼女は、

私の肩を勢いよく手で押し倒し
バランスを崩してしまった私はその場で倒れ込んだ。

.

「っ」

「本当目障り、早く別れてくれません？」

「…何を言われても別れませんから」

「…あっそうですか。
でも貴女に比べて私の方が康介先生と居る時間は長いですし、
それに私の方が彼への気持ちは遥かに大きいです」

「北山さん、今だけですからね
そうやって余裕かましていられるのは。」

.

キッと睨まれれば長い髪を揺らし、
ドアを開けこの部屋から去っていった彼女。

経った数分の出来事だったのに
何故か時間が進むのが遅く感じた。

覚悟はしていたものの
ここまで手強い相手だとは気付かなかった。

今までの様な幸せな時間が
あの女の手によって壊され掛けていると実感した今、
本当に余裕なままじゃ居られないと気付く。

…この状況を何とかしないと。

.

「…どうすればいいんだろ」

誰もいない静かな部屋でそう呟く。

あさみんを失うなんて
考えたくもない。

頭が混乱する中、
彼女が居ない事を確認し、
私も部屋を後にした。

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