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「A帰ってくんの遅いから
俺待ちくたびれたんだけど〜」
ブーブーと呟きながらソファの真ん中に
堂々と座り、テレビを見る兄。
実は兄にもこの家の合鍵を渡してあり、
暇さえあれば乗り込んでくる始末。
.
「もう、早く帰ってよ」
「やーだね
一人ぼっちさみしいもん」
「いい大人が何言ってるのよ」
「それにさ、彼にも色々と話聞きたいし」
私への目線をくるっと変え
私の隣にいるあさみんをじーっと見詰める兄。
「あさみんは関係ないでしょ」
「こいつ何？Aの彼氏？」
あ〜もうまた兄の嫉妬が始まった。
昔からずっとそうだ。
私に好きな人が出来ると、必ずと言っていい程邪魔をしてくる。
好きな人と付き合えばもちろん「別れろ！」の一点張り。
毎回毎回邪魔をされ続けてもうかれこれ数十年。
今回ばかりは絶対に兄にはあさみんの存在を気付かれたくなかった。
「お兄さん、紹介が遅れました
Aさんとお付き合いさせて頂いています、浅見と言います」
礼儀正しくこんな兄にまでお辞儀をする彼。
そんな彼へ兄はまた突っかかる。
「そんな敬語使わなくていいし
まあ浅見くんね、覚えとくよ〜」
少し棒読みながらにも言葉を発し
プイっとまたTVの方向に向いてしまう。
もう…なんでそんな態度とるかな。
「お兄ちゃん邪魔なんだけど」
「久々に会えたのにそれは酷いってー
ほら、いつもみたいにぎゅーってして？」
「いつもしてないし…
まだ言ってる途中なのにも関わらず
あさみんが私をぎゅーっと抱き締めた。
…兄の目の前で。
.
「お兄さん、すいません
Aと抱き締め合えるのは俺だけなんで」
私達の目の前でこの光景を見て呆然としている兄。
部屋の中に異様な空気が流れる
…やばい気がしてきた。
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作者名：riya | 作成日時：2017年6月9日 23時
