野球部の恋愛事情 (ページ25)

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Aside

　「A!」

　振り返るとそこには

　山崎先輩が立っていた。

　「あ…山崎先輩。どうしましたか?」

#19「二人だけで…連絡したいなと思って」

　「え…？どうゆうことですか?」

#19「"青戸野球部" 以外で連絡取ろうってこと」

　「…いいんですか?」

#19「もちろん」

　「ありがとうございます」

　もう一度スマホを取り出して、メアドを交換する。

#19「こっちこそありがとう」

　「いえいえ。じゃあ失礼します」

　
　ｸﾙﾘと後ろを向いて山崎先輩に背を向ける。

#19「…っちょ、ちょっと待って」

　「はい…?」

#19「……」

　「山崎…先輩?」

#19「A…」

　「はい。どうしま……えっ…?」

　"どうしましたか"その言葉は、山崎先輩のある行動によって遮られた。

　なぜ、山崎先輩の腕が私の背中に回っているの…?

　情報が頭に回らない。

#19「……」

　「やまっ…山崎先輩?」

　何も言わずただただ私を抱き締める山崎先輩が、可愛くて仕方なかった。

#19「A、ごめん。こんなことして」

　首を横に振る。

#19「さっき4人の先輩に言われたことなんだけどさ」

　山崎先輩の吐息が耳にかかる。

　
　「…はい」

#19「気にしなくていいから」

　「はい…。でも…」

#19「ん?」

　「先輩方に迷惑かけたくないんです」

#19「そっか…。Aは優しいな」

　「いやいや…!」

　ﾌｯと山崎先輩が離れる。

#19「じゃあ、なんかあったらすぐ相談して?力になれるかわかんないけど、頑張るから」

　「分かりました。ありがとうございます」

#19「俺とAの約束な?お互い何かあったらすぐ相談!」

　「はいっ!」

#19「はい、約束」

　山崎先輩が差し出す小指に、自分の小指を重ねる。

#19「ﾆﾋﾋｯ」

　嬉しそうに笑って、私の頭をﾎﾟﾝﾎﾟﾝと撫でた。