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愛と執着とパイプ椅子3 ページ29

あの日から2日経ったある日、俺は夢を見た。
パイプ椅子に座らされ、女が真正面にいる夢。
ただ、それだけ。喋ることもなければ、動くこともない。体と接しているはずのパイプ椅子は、いつまでも暖まることはない。冷たい、もうすでに死んでいるような無機物。
生きていないのと同じじゃないか。
ただ、ただ一つ分かったことは、女が俺のことを愛している女に違いないことだ。常に上がっている口角は不気味さを連想させる。
すると、女は動いた。手に光るナイフに気づいた。
女は、まるで自分の物と見せつけるように、あるいは印をつけるようにゆっくり俺の肌に刃をたてる。
ぷつり、と弾けるような音をたてながら、赤い血液は広がっていく。腕に、肩に腹に、そして首に。
痛みは感じない。でも血がどくどくと流れていく感覚がした。

「A、貴方は私のもの。私は貴方のもの。そうでしょう?」

___

「__ヒョン!!!!リリヒョン!」
「__A!!」

目が覚めた。
ソクミナとスンチョラが俺を起こしてくれたらしい。二人は、ひどく心配そうな顔をしていた。

「大丈夫か?!」
「はぁ、はぁッ」

荒い息を整えながら、スンチョラに焦点を合わせた。
体が、震えている。頬に涙が溢れている。
俺は、泣いていたらしい。
それから数分経ち、落ち着いた頃には皆が俺のベッドの回りに心配そうにいた。

「スンチョラ、俺、」
「魘されてたぞ、落ち着いたか?」
「もう平気だよ、」
「ヒョン、本当に大丈夫?俺、」
「ごめんねミンハオ、俺もう大丈夫だから」

眉を八の字にして俺を抱き締めるミンハオ。
弟たちは皆不安そうだ。

「皆もごめんね、俺はもう平気だよ」

俺がそういうと、スンチョラ以外の皆はゆっくりベッドへ戻っていく。
スンチョラは皆が戻ったのを確認すると、俺にだけしか聞こえない声でこういった。

「A、やっぱり事務所に報告して、少し休ませてもらおう」
「でも俺、皆が頑張ってる中で休みたくないよ」
「なら全員で休暇をとらせてもらって、どこかに遊びにいこうか」
「でも、」
「でもじゃない。お前が元気ないなら、CARATはどうすればいいんだ?中途半端じゃいけない。俺達はアイドルなんだ、皆に元気を与えなくてどうする?」

握りしめられた手は、暖かかった。

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6太さん(プロフ) - なちゅ。さん» 本当ですか!いやあ....嬉しいですありがとうございますむふ。なちゅさんの原動力になれるよう頑張りますねw。これからも頑張りますコメントありがとうございます (2018年1月16日 21時) (レス) id: f3b1c57b95 (このIDを非表示/違反報告)
なちゅ。(プロフ) - 6太さんの作品大好きです。心が温かくなります!!!参考にされていただいてます…これからもお体に気をつけて、更新頑張ってください!応援しています!6太さんが更新すると私の更新速度が上がるという現象が起こりますw (2018年1月16日 18時) (レス) id: e0e344f170 (このIDを非表示/違反報告)
6太さん(プロフ) - まるちゃうゆさん» コメントありがとうございます。本当ですか、嬉しいですうふふ。更新ノロノロでご迷惑おかけしますがこれからも頑張ります。95lineの絡みも書いていきます! (2018年1月13日 20時) (レス) id: f3b1c57b95 (このIDを非表示/違反報告)
まるちゃうゆ(プロフ) - いっつもステキな作品だな…と思って見ていた作品が同じ作者様だとつい最近気付き、思わずコメントをしています。いつも楽しく読ませていただいています!今後できれば95lineのメンバーとの絡みが見てみたいです。更新楽しみにしております! (2018年1月13日 14時) (レス) id: adf8d5ca82 (このIDを非表示/違反報告)
6太さん(プロフ) - 黒蜜さん» 更新遅くてご迷惑をお掛けしますがこれからも頑張ります。コメントありがとうございます!!!ご期待に添えられるよう頑張ります!!! (2017年12月11日 18時) (レス) id: f3b1c57b95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:6太さん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月9日 18時

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