5話 ページ5
………
私は事務所に着くと共に扉を勢い良く開けた
『左馬刻いますか!?』
すると、ちょうどお茶をいれていた組の下っぱが驚いた表情をしてこちらを見た
「えっと…若頭なら今仕事で出掛けてます………」
出掛けてる……ってことはもしかして、今クラブに…………!!
『ねぇ、左馬刻は今どこにいるの?』
「えぇ!?……それは、言うなって頭に……」
この男性は押しに弱いのかおどおどして口止めされていることを告げた
なら、自分で探しに行く…そう思った瞬間後ろから聞き覚えのある低い声が聞こえた
「あ?なんで愛桜がここにいんだよ
今日は仕事のはずだろうが…」
振り向くと、スーツを着崩しサイドだけをオールバックにした格好の左馬刻がタバコを咥えて立っていた
『左馬刻っ…………今までどこにいたの…?』
「あ?んなの言う分けねーだろうが」
そういって彼は頭をガシガシと荒く掻き、髪を元に戻した
危ない仕事だから言えないのかな…それとも
『左馬刻さ…クラブに行ってたりしない、よね?』
私は振り絞ってその言葉を口にした
お願いだからyesといって
怖くて顔をあげられない私を見て、左馬刻は口を開く
「んなの、行った事はあるがお前以外の女には興味ねーよ。」
そういって私の腰に腕を回して抱き締めると、優しく額にキスをした
『うん………ごめん。
変なこと聞いちゃって……』
「お前が謝る必要なんざねーよ
お前を不安にさせちまった俺様が悪りーだけだ。」
彼の言葉を簡単に信じてしまう私はバカなのだろうか
でも、彼が嘘をついているかついていないかの区別なんて簡単なのだ
なんせ幼い頃から一緒にいるから、彼の嘘を見抜くのは得意中の得意
さっきの左馬刻は、決して瞳を反らさず私を見つめて話してくれた
やっぱりあんなの嘘だ。合成かなにかだろう
私はそれ以来キャバ、クラで働くニネちゃんと会うことはなかった
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作者名:*ビターチェリー* | 作成日時:2019年10月19日 19時