第1話 ページ3
幸せな気分になって、心はとてもとても、それは満たされた。でも腹は満たされはしない。
丁度、隣の駅に、美味しいと評判の喫茶店がオープンしたらしい。行こうかな……?
なんて思っていたら、携帯が鳴る。おそらくお父様の仕事仲間からだろう。鬱陶しい。そう思って、携帯をゴミ箱へと捨てようとした。
《ッチ、出ねぇな》
その時、かすれた男の声が聞こえる。おそらくメッセージを残すつもりだ。
「…………」
《奴を片付けろ》
奴……?お父様にこんな礼儀、言葉遣いのなっていない男は初めてだ。こんな奴いただろうか?
疑問は積もって、不安に変わり、私の焦燥感を煽りに煽ってくれた。いけない、お父様は私の物なの。誰にも、誰にも渡しはしない!!!
「殺してやる……」
お父様にも、お母様にも関わる奴は皆皆殺しにしよう。そう決めた所で、空腹の音が鳴った。
「まずは、服から揃えよう」
腰まであった黒髪は、清楚に見えるよう、ハーフアップにし、束ねる場所には白い花の付いたゴムで留めた。黒を基調として、白い花の描かれたワンピースは、お母様の物だ。そしてこの黒のサンダルも。
お姉様からは白のバッグと口紅を。お兄様からはシルバーのイヤリング。
「これで皆一緒ですね……」
うっとりと鏡を見る。妹と弟からは貰っていない。だってあいつらお母様とお父様にご迷惑かけるんだもの。
私はきっとそこまで酷くはないわ。なんて確証もない事を思い浮かべながら、花が置かれた可愛らしい店への道のりを確認した。
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作者名:虚ろな夢 | 作成日時:2018年12月30日 5時