ep.7 ページ9
北山くんと食事に出かけてから数日が経過する。
時折電話がかかってきて現状のドラマの進み具合などを北山くんは教えてくれた。私はその話を聞くことが好きで電話を楽しみに待つようになっていた。
プルルル
電話が鳴る
貴「もしもし?」
「A〜!!!」
電話の相手は希だった。
貴「どうしたの?」
「ちょっと色々あって、今Aの家の前…」
貴「え!?」
私は焦ってカーテンをめくるとそこには希の姿が。急いでエントランスまで走る。
貴「どうしたの?希」
「先輩が…」
私たちの間に沈黙が流れる。口を開くにもこの空気では開けずとりあえず希を家に案内した。
貴「なにがあったの?」
「先輩がほかの女の人と…腕組んで歩いてた…」
貴「え…?それほんとに?」
希は間違いないと言った。あれは間違いなく先輩で女性は初めて見る人だと。
「私、どうしたらいいかわかんなくて」
目の前で泣きじゃくる希にかける言葉が見つからない。ただ背中をさすることしか出来なかった
少し落ち着いてきた希にココアを差し出す。
「ありがとう」
心ここに在らずという感じだった。
貴「でも…とりあえず先輩に確認してみるしかないよね…」
「そうだよね。でも怖いよ…」
また希は泣き出してしまう。先輩がいなくなる毎日が怖いと言ったそれほど希は先輩との毎日が好きだったんだろう。
希の見間違い 人違いだといいなと祈りながら話を聞き続けた。
希を駅まで送り私は家に戻った。あんなに泣いている希を見るのは初めてで何もしてあげられない自分が嫌だ。
おもむろにスマホを手に取った瞬間北山くんの事を思い出す。
貴「電話…出るかな」
でも仕事中かも…。
貴「3コールで出なかったら切ろ。よし」
プルルル プルルル プルルル
3コール目が鳴り終わり私は電話を切ろうとする。
すると
「もしもし?」
貴「あ、北山くん」
「どうしたの?」
貴「ううん。声聞きたくなって」
私がそう言うと北山くんは可愛いじゃん笑なんて私を少し小馬鹿にしながら話をしてくれた。
収録の合間だと言っていて15分程で電話を切った。
そして録画してあったテレビを見る。
北山くんが出ていた音楽番組。
貴「やっぱりアイドルなんだよね…」
また北山くんとの距離を感じ切なくなりテレビを切った
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作者名:とまと | 作成日時:2019年8月14日 19時