ep.16 2/2 ページ22
貴「わからないです。」
玉「なんで?」
貴「追いかけようと思ったらできたと思うから。でも私は逃げたんです」
玉森さんは黙って私の話に耳を傾ける
貴「その時に1番に玉森さんの顔が浮かんで来てしまったんです。ごめんなさい」
涙でぐちゃぐちゃで見せられるような顔じゃなかった。玉森さんは何も言わない。ただ私が鼻をすする音だけが車内に響く。
玉「俺のとこに来たのは良かったと思うよ。変な男に攫われてたら困るし。」
貴「…」
玉「ねえ〇日空いてる?」
貴「え、多分空いてますけど…」
玉「ちょっと付き合ってよ。」
分からなかったけどなにか予定がある訳でもないから承諾をした。
またしばらく車は走った
玉「よしついた。」
シートベルトを外して車から降りる
貴「凄い…!!!」
降りた先は海だった。こんな夜に海に居る人は私たちしかいなくて浜辺を二人で歩いた。
雨はすっかりやんでいて潮風が心地よかった。
玉「ちょっと入ろうよ」
靴を脱いで2人で海に入る。
貴「まだ冷たい」
玉「そうだね笑」
きっとこの瞬間誰かが来たら海に入ってはしゃいでいる私達は恋人同士に見えるだろう
玉「ていうか、敬語やめようよ、あと裕太って呼んで。決まり」
貴「え、あ、ゆうた…」
玉「いつも呼んでるのにすぐ戻るから」
もーなんて言いながら玉森さんと笑い合った
少しだけ北山くんを忘れられる時間だった
玉「そろそろ行こっか。」
海から出て靴を履き直し車に向かう。
玉森さんから繋がれた手を私は拒むことなく繋ぎ返した
玉「また来ようか」
貴「…うん!」
裕太は頭をわしゃわしゃと撫でて車を発進させた。
裕太の家に着く。
その日裕太は私と体を重ねなかった。
その代わり私を抱きしめて眠った。
すぐ側にある温もりを取ってしまえばどれだけ楽だろう。だけど裕太と私はあくまでも体の関係だ。
すやすやと眠る裕太の髪をすくい呟く
貴「裕太の事わかんないな。知る権利もないけど」
裕太は変わらず気持ちよさそうに寝ていた
裕太は何を考えているかよくわからなくて、だけど不意に見せる優しさは紛れもなく本物だということは分かる。
私もそっと目を閉じる。涙をあくびと誤魔化して裕太の胸に顔を埋めて、その日は眠った
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作者名:とまと | 作成日時:2019年8月14日 19時