ep.8 2/2 ページ11
玉「思い出した？」
私の唇を塞いでいた唇が離れ玉森さんは私に問掛ける。
貴「思い出せないです」
今思うとこの時覚えてるっていえばもう終わったのかもしれない。心のどこかでやめて欲しくないって思っていたのか。
玉「行きましょ？」
そういい玉森さんは私をのぞき込む今日は酔っていないのだから言い訳なんてできない。だけどどうしてもこの人の手を離せなかった。
私達は車を降り歩き出す。肩に回された腕がやけに熱を持っている気がして顔が火照っていた。
扉が開き玄関に入る。玉森さんに声をかけようと後ろを向くとそのままキスをされてしまう
貴「んっ、玉森さん、」
玉「裕太」
貴「えっ？」
玉「今は裕太って呼んで」
貴「…裕太」
玉森さんの言われるがままだった。そのままベッドに運ばれ深くキスをされる。
綺麗な二重の目が私をじっと見つめる思わず目を逸らしてしまった。
玉「A、目逸らさないで」
その一言でもう彼から目を離すことは出来なくなってしまった。
玉「A…」
貴「裕太…」
玉森さんは私を抱きしめ聞こえるか聞こえないか分からないほどの大きさで私に話した。
それから玉森さんは強く私を抱いた。その時思い出せなかった、あの夜の記憶が蘇り私はそのまま意識がなくなった。
貴「ん…」
陽の光で目が覚める。起きると隣には玉森さんがいた。起こしちゃ…まずいよね
私はそっと起き上がろうとするが玉森さんにそれをとめられる。
玉「んーA…」
腕を引っ張られベッドに戻される。そして抱きしめられていた。
貴「あの、玉森さん…」
玉「あーあ。昨日は裕太って呼んでくれてたのに」
貴「呼べっていうから…」
玉「これからも呼んでよ、ね？」
玉森さんは眠たそうな目で私に訴える。断ることも出来ず私は頷いた。
だけど私達にこれからなんてあるのだろうか。ジャケットを受け取ってしまえば会う必要などない。このまま何度も会うことがいい事だとは到底思えなかった。
理由を求めることを怖く思い私は何も言わなかった。
約1時間後私達は家をでる。玉森さんは帽子を深く被りマスクをはめる。昨日と同じ光景
貴「これからお仕事ですか？」
玉「そうだよ〜」
貴「…頑張ってください」
玉「ありがとう」
そういいニコリと笑い私を最寄り駅まで送り届けてくれたのだ。
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作者名：とまと | 作成日時：2019年8月14日 19時
