７１． ページ22
「つき合ってねーっていってんだろ！ だからあいつは今、成瀬とつき合ったりなんかしてんだろうが！」
「声がでけえよ。俺がいいたいのはそういうことじゃなくて……、というか、うーん……」
「……ていうかさー」
とたんに考えこんでしまった小泉のあとを引き取るように、白石がそう切りこんでくる。
「下山くんって、ほんとにグルッペンくんのこと好きじゃないの？」
……突然ブチこまれて、俺は瞬間、苛立ちも忘れて動揺してしまう。白石にはこういうところがあるのだ……。マイペースというか、いい意味で空気を読まないというか。
「そ……れは……」
思わずいい淀む俺に、白石はかまわずつづける。
「つき合ってるうんぬんはわかんないけどさ、少なくとも僕は、下山くんはたぶんグルッペンくんのこと好きなんだろうなって思ってたよ」
その読みはある意味正しい。その鋭さに動揺しつつも、内心で感嘆してしまう。
確かに俺はグルッペンのことが好きだ。その『好き』がどういう好きなのか、自分でわかっていない、あるいは、納得できていないところはあるが、あいつのことが特別なことは疑いようもなく確かだと断言できる。だが……、白石がいっているのは、おそらくそういう単純な話ではないのだ。当然である、だって俺たちはもう高校生だ。執着がともなう好きだの嫌いだのを、恋愛とつなげずに考えろというほうが難しい。
そうなると、俺はとたんに弱ってしまう。
「いや、それは……その……」
「なんだよ。今さら気恥ずかしいってか？」
白石の切りこみで調子を取り戻したらしい小泉が、からかい調子にそう突っついてくる。
「そうじゃなくて、それは……。確かに俺はあいつが好きだが……そういう好きというわけでは……」
「ほんとかよ？」
「いや……たぶん……でも……、あーっ！ だめだ！ わかんねえ──！！」
小泉に重ねてそう突っつかれて、俺はいよいよ爆発してしまった。もともと機嫌が悪かったこともあって、自分が情けないやら小泉がムカつくやらで、またしても公共の場にふさわしくない大声を上げてしまう。そんな俺をみて、小泉も白石もあきれたようにため息をついていた。ああクソ、わかってる。わかってるよ、今の俺がめちゃくちゃ情けないなんてことは、俺自身が一番！
わかっているがどうしようもないのだ！
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
