６２． ページ13
俺はその部屋にいるあいだ中、ひとことも口をきかなかった。のちに確執が残ろうが、この際どうだっていい。例のサッカー部の連れと、もうひとりのおとなしいやつとはいくつか業務連絡のやり取りをしたがそれだけで、サッカー部とはいよいよ、業務連絡でさえ口をきかなかった。向こうも途中から意地になったのか、俺を避けるように動いていたから、いっそ気が楽で、そのことに関してはよかった。
三日目は朝から、帰りの新幹線に乗るまでずっと全体行動で、自由行動はもうない。昨日が最後のチャンスだったわけだ。そのチャンスを俺とグルッペンはペナルティーで消費してしまったわけだが、不思議とそのことを悔しいとは思わなかった。あの時間が、照れくさくも楽しい時間であったことは疑う余地もなく確かなことだったからだ。
最終日ともなると、全体的に消化試合の雰囲気が漂ってくる。自由行動がないとなれば余計にだ。初日はテンションが高かった俺も、ほかのクラスメイトも、今となってはガイドさんの案内にあくびをしながら相槌を打つありさまだった。
昼飯を食って、バスでターミナル駅まで移動する。あとは新幹線に乗って、地元に帰るだけだ。帰りの新幹線では席につくなりソッコーで寝入ってしまい、慣れない新幹線にふたたび興奮するような余裕もなかった。目が覚めたらもう地元で、なんだ、味気ないもんだな、と思ったりする。そのターミナル駅で、俺たちは現地解散だ。先生たちも。
「疲れた……」
「本当にな……」
めずらしくぐったりしている俺とグルッペンをみて、白石がアワアワしている。こいつ、運動はできないくせに妙にスタミナがあるようで、ほかと比べても全然疲れている感じがなかった。意外だ……。一方の小泉は俺たちとそう変わらないようすで、みるからに疲れきっていた。
「ふたりは方向一緒なんでしょ？ 早く帰って寝たほうがいいよ」
「そうする……」
「明日休みだけど、お前らバイトは？」
「さすがに明日とあさっては休み取ってる。お前は？」
「俺もだ。とにかく寝たい」
グルッペンとそういい合って、お互いを鼓舞するようにうなずき合う。仕事は大事だが、さすがに修学旅行のあとくらいはしっかり休ませてほしい。
「そうか。じゃー、気をつけて帰れよ」
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
