紫陽花

#7 ページ8

時は過ぎ、あっという間に12月。

生徒会での仕事が忙しくなり、必然と彼と会う回数も増えていた。


でも、生徒会の中でいそがしくしているのは私だけ。

仕事の殆どは私一人で、今回の企画のシナリオも全て私。



リハーサルとして彼の前でプレゼンをするとダメ出しばかりをしてくる。


その場ではなんとか乗り切ったけれど本当は泣きそうなくらい辛かった。


その後一人残って生徒会室で作業をする。


今日は会いたくない、そんなことさえ考えていた。





すると、カチャっとドアの開く音。


足音で彼だとわかっていたけれど、後ろは振り向きたくなかった。


何度も話しかけられたけれど、彼の方は一切見ない。



そんな私に




哲也先生:なぁ、どしたの




と言いながら私の頭に手を乗せる。




今そんな優しさいらないよ、と視界がぼやける。





哲也先生:俺がシナリオのことあんな言ったから？違うからな、お前が作ったアレないとできなかったし、悪くなかったよ。





ともう一度"ポンッ"と頭に触れ生徒会室をあとにする




私の身体の中にこんな量の水分が余っていたのかと、そう言えるほどの涙が溢れた。



落ち込んでる事がバレないように背を向けていたのに、何も言っていないのに、何故わかったの？


涙を流すのは彼が出て行くまで待っていた。


もし、彼の前で泣いてたらどうなっていたの？





彼が触れた頭にしか意識が向かない。


何か彼に伝わっていたのかと、涙が止まらなかった。

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