紫陽花

#24 ページ25

夏期講習で学校に丸一日いた憂鬱な日。
学校を出ると私の携帯が鳴る。

誰からだろうと画面を見ると、哲也先生の名前。
焦って携帯を開く。

哲也先生 : 「まだ学校にいるか？」

バッドタイミング。

A : 「わ！ごめんなさい！丁度学校出てきちゃいました…」

哲也先生 : 「マジかー。添削の新しいプリント渡そうと思ったんだ！
　 〇〇先生に預けておくから、次学校来た時受け取ってくれ！」

A : 「わかりました！わざわざすみません！(-_-;)」

ここで会話は終わった。

LINEがきたのは嬉しかった。わざわざこの内容で。

でも、預けていくってことは、そういうことだよね。
思い出せば夏休み中、実家に帰るって言ってたな。

今日のタイミング逃したらもう、夏休み中は会えなくなるのか。

もう少し学校にいればよかった、と後悔をする。

―翌日

LINEが鳴る。送り主は哲也先生。

内容は生徒会の業務連絡だった。

―その翌日

またLINEが鳴った。

今日も、哲也先生から。

三日連続でLINEかぁ。
夏休みの会えない日々が埋められてる気がする。

その分、この後が寂しくなる。

このまま明日もって期待してしまう自分は貪欲だ。


次の日も、その次の日も、彼を求めて学校に来る。

会えるかなと期待して勝手に来ているのは私。

でも、会えないと沈んで、悲しんで。

私、なんでこんなバカなことしているんだろう。

こんなにも、好きな人に会いたくて、求めるような恋は初めてだ。


結局、勉強するためと嘘をついてずっと学校に来ていたけれど、

あの後は一度も会えなかった。


あとは、夏休み明けに彼に会うのを楽しみに待つだけ。





こうやって、段々と彼のことを忘れていくのかな、と

胸が締め付けられて…苦しかった。

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