２６話【 忠 実 犬 に は 御 注 意 を �此� ページ9
「次やったら１ヶ月依頼なしにするよ。気を付けて」
「うっ………はい…」
耳が完全に垂れ下がり、どう考えても反省し
ている様子。１ヶ月依頼なしが結構きたらし
く小さな声で返事をしていた。
「さてと。待たせてしまって申し訳ない。
もう知ってると思うけれど、この子はしゅさが。
生前が狩りに特化した犬だったから鼻がいいんだ。
おくもさん、御守りを借りてもいいですか？」
「はい。どうぞ」
小さな体が見えなくなるほどの御守りを両手
で持って差し出し、それを受け取った先輩が
しゅさがさんへ差し出す。すると、鼻がいい
という話からなんとなく予想はついていたけ
れど、御守りに鼻を近付け、匂いを嗅ぎ始めた。
いくら鼻がいいと言ってもそうとう距離が離
れているはず。ちゃんと分かるのか心配だっ
たけれどそんな必要はなかったようで、すぐ
にわかった！と元気な声で言った。
「案外近くだよ。ちょっと見てくるから待ってて！」
「よろしく。ゆたゆきも着いていってあげて」
「わかってるよー。って早いよさがくん待って」
流石と言えるほどの速度で部屋から出て行っ
たしゅさがさんを少し呆れながら着いていく
ゆたゆきさん。
待っている間に再度持ち主の特徴を確認し、
二人が帰ってきてから本人かどうかを確める。
残りの待ち時間はとくにやることがないらし
いのでおくもさんと話していた。
数十分経ち、玄関のドアが勢いよく開かれ、
元気のいいただいま！という声と疲れはてた
ただいまぁ、という声が聞こえてきた。もち
ろんしゅさがさんとゆたゆきさんで、疲れて
いる方はゆたゆきさん。息が切れているとい
う訳ではないけれど、顔を見たら疲れている
ということがすぐにわかった。
そして特徴を照らし合わせ、見事本人である
ことが確定。これは噂の他の事務所より半分
早いというものを上回っている早さなので驚いた。
今日そこへ向かっても夜になってしまうかも
知れないので、明日向かうことになり、今日
はこれで終了となった。
昨日と同じようにおくもさんは家で預かるの
で鞄の中に入ってもらい、帰ろうと玄関に向
かったとき、声をかけられたので足を止め振
りかえる。
「どうしました？しゅさがさん」
２７話【 ほ ん とは い い や つ 】→←２５話【 忠 実 犬 に は 御 注 意 を �� 】
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作者名：ひいら | 作成日時：2019年1月24日 23時
