２４話【 忠 実 犬 に は 御 注 意 を �� 】 ページ7
先輩が入っていった筈の場所から一人で出て
きたのは、年齢が私とあまり変わらないんじゃ
ないかと思うくらいの容姿の男の子。楽しそ
うにしていたけれどこちらに顔が向いた瞬間
にすっと真顔になった。
３秒ほどたってからぐるぐると喉をならし、
こちらに突進。なんとかはなよいさんが刀で
受け止めてくれたのでよかったけれど、もし
そうなっていなかったら刀に噛みついている
歯で腕でも喰いちぎられていたと思う。
「いい加減にその幼稚な頭をどうにかしろしゅさが！！」
「うるせぇお前だって反対だったくせに！！
なにちゃっかり守ってんだよバーカ！！！」
「……待って。さがくん、主くんどこ？」
「え？」
ゆたゆきさんの問いかけに、しゅさがと呼ば
れた男の子ははなよいさんとの睨み合いをや
め、刀から離れてあー…と声を出しながら頭
をかいた。そしてその後に発された言葉は問
題発言以外の何でもないと思う。
「あー……多分…気絶してる…かなー………あは」
「……は？」
「え？」
「……？」
＊＊
「ほんとにごめんなさい………」
「反省するならその単細胞ぶりをなんとかしろ阿呆」
「ぅ………」
叱られた仔犬のようにしゅんと下を向いてい
るしゅさがさんはかわいらしかったのに、こ
ちらを見るとすぐに睨み付けてくる。
できるだけ気にしないようにしようとは思っ
ているけれど、やはりそちらを見なくともしゅ
さがさん視線が痛い。目の前ではゆたゆきさ
んが先輩を心配そうに見ている。
先程の、しゅさがさんによる気絶してる発言
から反射的にはなよいさんが猛スピードで先
輩のところまで行き、残った三人はそれを追
いかけると、はなよいさんがしゃがみながら
長い溜め息をついて、床で伸びている先輩を
見ていた。
一番近いベッドのある場所が先輩の部屋だっ
たので、そこまで運ぶことになり私も手伝お
うとするが、ゆたゆきさんを除く反対派のお
二人に吠えられ、運んでいるのについていく
しか出来なかった。
そして部屋に着き先輩を部屋に寝かせて今に
至る、というわけだ。
先輩が気絶した原因は、先輩がしゅさが
さんに依頼の手伝いをしてもらうと言う
としゅさがさんのテンションが上がり、
先輩の肩を掴んで揺らしたり抱きついた
りしていたからそのときに気絶したと思
う。という曖昧な説明だったけれどなん
となくは分かった。
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作者名：ひいら | 作成日時：2019年1月24日 23時
