弐・妖月探偵事務所【名前変換オリジナル】 (ページ12)

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２９話【もう一人の助け船】ページ12

「それじゃあ、私こっちだから」

しゅさがさんの件の翌日。今は学校からの帰
り道で、いつも通り親友二人と下校している。
けれど、私はこのまままっすぐ事務所へ向か
うのでいつもと道が違う。もちろん二人とも
気付かないわけがなく、なにか少し考えて、
あーっ！と藍が言うと苑もそれに続いて同じ
ように声だす。

「琴！！まさかもう事務員受かったの？！」

「あ、えっと……うん……」

「ねぇねぇどんなとこだった？！
探偵の人かっこよかった？！」

「えっと……」

両親へ話したときと同じ内容を伝え、妖怪が
いることや探偵が先輩だということは伏せた。
第一妖怪のことに関しては信じはしないだろうから。

幸いなにも深入りせずに、私の言ったことだ
けで満足してくれたためそのまま別れ、バス
に乗って事務所に向かった。

＊＊

バスを降りて、いつもと同じ道を歩き事務所
に到着。因みにおくもさんは大きめの箱に入
ってもらい、それを鞄に入れて一緒に移動し
ていた。

玄関の扉を開けばベルの音がなり、相変わら
ずのちょうどいい暖かさが出迎えてくれた。

「こんにちっふぁ？！」

「やっと会えたーっ！！」

「ひ、ひな…気持ちはわかるけど………」

扉を閉め、挨拶をしていると、それを遮るよ
うになにかが抱きついてきたので、最後辺り
がおかしくなった。首に腕を巻かれ、ぎゅう
ぎゅうと力を込められるのでだんだん息苦し
くなってくる。

先輩の困ったような声でわかったが、この抱
きついて来ている人がひなさんなんだろう。
名前と声からして女性か少女だと思える。