弐・妖月探偵事務所【名前変換オリジナル】 (ページ1)

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１８話【小さな依頼人】ページ1

「っ………」

ごくり、と唾を飲み込み目の前にいる依頼人
の方を見る。じっと見つめてしまい、恥ずか
しそうに俯く姿はとてもかわいらしい。

そしてなにより………

「ちっちゃい…」

依頼人の体の大きさは片手に乗るサイズで、
今は向かいの椅子ではなくテーブルの上に座
っている。小さくとも容姿は子供っぽいもの
ではなく、私と同じかもう少しだけ上くらい
の年齢に見えた。

今回は先輩が依頼人と話すところを見学する
だけなので、遠くから見ているだけでいいは
ずなのに、先輩に言われ隣に座っている。

あ、あのぅ…と小さく声を出したのは、また
しても私が見つめていたからだったと思う。
慌てて視線をそらし、何故か恥ずかしくな
った私も俯く。

先輩が、メモ帳とペンを持って戻って来てく
れたのでこのどうしたらいいかわからない状
況を脱することができた。

「さてと、じゃあ依頼について教えてください」

「……この御守りの持ち主を、探してほしいのです」

「持ち主？」

「はい。私はこの御守りの付喪神でございます。
先日…約８日ほど前でございましょうか。
長い間使われておりましたゆえ、紐がこのように切れてしまい……
主様の気付かぬ間に落ちてしまいました」

「なるほど………」

付喪神さんは、横に置いてあった御守りを先
輩へ差し出し、先輩はそれを受け取ってじっ
と見ていた。私も見てみると、御守りは長い
間使っていたのがしっかりわかるくらいにく
たびれていた。

ふと思ったのだが、付喪神さんには名前があ
るのだろうか。今のところわからないけれど
それを見学の私が聞くのは気が引けた。

それから元々いた場所の特徴や、ここに来る
までの移動手段など手掛かりになりそうなも
のを聞いていたけれど、あまりいい調子では
なさそうだった。難しい顔をしている先輩を
見て心配そうな顔をした付喪神さんに気が付
くと、優しい笑顔に戻り相手を安心させるよ
うにしている。

依頼についての話は思ったより早く終わり、
最後に先輩が聞いたのは、付喪神さんの名前
だった。