妖月探偵事務所【名前変換オリジナル】 (ページ4)

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４【あるチラシ Ⅳ 】ページ4

「そろそろ帰ろっか。このままだと風邪引きそう…」

「だねぇ。歩いてたら雪解けるかな？」

「まだそこそこ距離あるし解けるんじゃない？」

「私は解けなさそうだなぁ…」

「あー、Aもうすぐ近くか。」

「うん。でも家だれも居ないだろうからドライヤーとかで暖めとく」

「なら大丈夫か。にしても大変だねぇ共働きのお家は」

「あはは。でもお母さんは夜ご飯までに帰ってきてくれるし、
そんなに寂しくないよ。家事もちゃんと教えてくれたから」

「Aママ優しいよねー。羨ましいよほんと。
うちのお母さんなんてもう鬼ババだよー…」

「うちもー」

人差し指だけを伸ばし頭の上で角のようにして、鬼！なんて遊んでる二人を見れば自然と笑みが溢れる。鬼だとか言っているけれどなんやかんやで感謝はしているんだと思う。そうじゃないとお母さんの話かでここまで盛り上がらないだろうから。

私の家は共働きで、独りっ子なので家では遊ばずに祖父母の家へ行って遊んでいた。最近は家事も自炊もできるようになったので頻度は少なくなっているものの、行かなくなった訳でもなく、時々寂しかったりするときにはお邪魔している。突然行っても優しい笑顔で迎えてくれるのには感謝しかない。

「……A、家お邪魔してもいい？」

「え？全然いいけど……なんで？」

「いやー、大丈夫ならドライヤー借りようかなぁ、なんて…」

「ダメ……？」

「そう言うことね……。ううん、大丈夫だよ」

「やった！これで怒られずに済むー！」

「今度なんかおごるねー」

「ドライヤーくらいタダでいいよ……？」

この二人と話しているときは時間が経つのが早く感じる。前に、母から楽しいと感じたときは時間が過ぎるのが早くなる、と聞いたけれど全くその通りだと思う。話を聞いているだけでも楽しく感じられる友達なんてそう居ないだろうから、私は運がいいんだろう。

そういえば、さっきの事務所ってどこにあるんだろう。確認するのを忘れて来てしまったのでそう考えるけれど、もう戻るのもあれだし手元にはスマホという便利な板があるのでそれで調べることにした。

ただの募集チラシと思っていたものがまさかあんなものだったとは思っても見なかったけれど。