水と水 ページ37
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「あの、すみません。田噛さんと明坂さん、で合ってますよね?」
背後から突然声をかけられ、跳ねるように振り返る。
すると、ついこの前永知さんに見せてもらった本のうちに描いてあったような帽子を被った、鬼殺隊の隊士が少しおどおどしたような様子でいた。
「そうだよ。ええと、君は確か…」
「藍川久留米です。一応…Aさんとは同期ですけど、和人さんや田噛さん達と同じ歳くらいです。」
「え!?ほんとか!?」
京士が俺の隣で食い気味に反応する。
対抗心が強いのか、自分より少し強い人を見つけるとすぐこうなるから、少し困る。
「それで、田噛さんは俺と同じ水の呼吸の使い手だって、Aさんから聞いたので、少し話したいなと。」
「なるほど、それでわざわざ作戦会議から抜けてまで来たんだ」
水の呼吸の使い手同士だから という理由を聞いて、京士は心底がっかりした様子でそっぽを向いて「二人で楽しくどーぞ〜」と不機嫌そうな声をあげた。
久留米さんは気まずそうに苦笑いして、明坂さんは水の呼吸じゃないんですね と、会話を繋げようとしたけれど、京士は全く聞いていなかった。
「すみません、こいつ一回こうなるとなかなか機嫌直らなくて」
「大丈夫ですよ、過去にお世話になった人も似たようなものでしたから。その上腹黒で。」
「あれ、もしかしてそれ風柱様のこと?」
なんで知っているんだ というように、とても驚いてきょとんとした表情になる。
事情を話すと、なんだそういうことでしたか と少し下手な笑顔で、笑って納得していた。
「…それで、呼吸はまだ使えないのに、炎の呼吸の適性の深紅に染まってたって?」
「そう、切枷さんと大盛り上がりだった。」
敬語がお互いにいつの間にか外れて、楽しく会話をしているうちに、刃の色と呼吸の関係の話になっていって、そのうち今回の増援として俺と一緒にこの街に来た、子犬みたいな感じの人と久留米の関係の話になった。
「あの人、和人さんは…朱羽根さんの継子でもあって、何より昔から剣道場に通っていた仲でもあった、好敵手なんだけど、俺なんかより呼吸も上手く使えて、鬼も倒せてて…羨ましい。」
「久留米だって、俺なんか って言うけど、俺よりずうっと早く鬼殺隊で活躍してて、すごいと思う!」
励ましの言葉をかけると、久留米は寂しそうに笑って、「ありがとう、でも俺はあの人より強くはないよ。」と呟いた。
その言葉が、異様に重く感じたのは、なんでだろう……?
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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時