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紫紺の窓と暗中の白 ページ21

ピタリと動きを止めた遮光布(カーテン)の裏で、紫紺に近い藍が、所々光の粒を散りばめている。


「鬼狩り…ですか。」


青年の、少し低い声で、しんと静まった空気が微かに震える。


「そう、鬼を狩る人、鬼狩り。」

「それなら、やっと安心して読書に没頭できますね。」

「…治療に専念するのが先やろ…」


そういえばそうでした。と静かに笑う巳繰とは対称に、相眞は軽く頭を抱え苦笑いした。


「…ですが、外とはほぼ無縁な私は、鬼は全く怖くないんです。どうして、鬼狩りの話を?」

「あ、あぁ…いや、鬼の話を悪い噂 って言っとったから」

「なるほど、そうでしたか。」

「……おう。」


相眞はきまりが悪そうに、頭から深く被って着物に縫いつけた布を指先でくしくしと弄る。

不意に立ち上がり、音を立てずに窓枠に乗り、夜空を背にする。


「…今日の話はこれくらいや。」

「おや、日が沈んでまだそんなに時間は経っていないですよ?」

「まあ、そうやな。でも今日はこれでおしまいや。
最近、調子良いって言っとったけどあれ嘘やろ?前はずっと起きて俺を待ってたぐらいなのに、寝てたやん。今夜はもうはよ寝て、病気治して外見ようや。」


それだけを言い残し、相眞は遮光布(カーテン)をふわりと揺らして夜へと消えた。


「…なんだ、気づいていたなら、言ってくださいよ…」


病に侵され、薄くなる声は風と夜の音に吸い込まれ消えていった。



-----------------------------


──「霧玄(むげん)。」


夜を走る中、背後から一人の男に呼び止められた。


「…何や、突然苗字やなくて名前で呼んで。誰だお前。」


振り返ると、月の光に浮かび上がる真っ白な羽織、大きく赤のバツ印のついた覆面のようなものと学生か車掌かのような白い帽子をつけた、詰襟服の男─鬼狩りの人間─が、まっすぐ俺に視線を向けていた。


「誰も何も、覚えてるでしょ。」

「いや顔隠れすぎて分からんわ、あと今暗いねん見えへんよ。」

「ハァ…まじかよ」

「何やねん、突然話しかけといてデカい溜息つくなよ」


大きくため息をつくとその男は覆面のようなものと帽子を取った。

そうして月明かりに照らされてその男の顔がはっきりと見え、やっとそれが誰なのか認識した。


「……って何や、お前一司(ひとし)やん。」

「そ、やっと思い出したか?お前の友達、神楽 一司(かぐら ひとし)。」


一司は困ったような表情を見せて、少しへたくそに笑った。

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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時

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