第99話 To remain ページ3
*
弱々しい力で手を握り返される。
イザナの顔を見ると溢れんばかりの涙を浮かべながら眉を下げて悲しそうに笑った。
イ「救いようねぇのはお互い様だな…
なぁ?……A…エ……マ…」
貴「……イザ、ナ…?」
どれだけ手に力を入れて握っても握り返されない。
だがまだ温もりがある。
目は虚ろに開いたままで光をうつさない。
だがまだ涙は流れている。
鶴蝶が必死に呼びかけるが返事はない。
───もう息はしていない。
血を吐きながら鶴蝶はイザナの傍に這って来る。
隣同士に地に背中を預け、手を握った。
鶴「イザナ…寂しい思いはさせねぇよ…
オレも…今…そっち逝くから…
オレらは上手に生きられなかったな…」
貴「……」
そんな時、空からはらはらと白い雪が降ってきた。
それを見たあと鶴蝶も動かなくなった。
イザナの手を離し、立ち上がる。
後ろから万次郎に手を握られるが脱力感の方が強かった。
万「…東卍も天竺もみんな!聞いてくれ
抗争は終わりだ」
両チーム、戸惑いの顔を隠せていない。
そんな中万次郎は凛と立ち、指示を促す。
万「もうすぐ救急車と警察が来る!
これ以上の不幸が出る前にみんなこの場から離れろ!!
この場はオレが残って収める!!解散だ!!」
Aも行けと言わんばかりに手を離そうとする万次郎。そうはさせまいとその手を強く握り返すと、万次郎は私の顔を見て少しだけ笑った。
貴「万次郎が残るなら私も残る」
万「……Aはそう言うと思った」
こんな状況でも万次郎がいれば安心できた。
多分それは万次郎も一緒だ。
互いに手を握り返し両チームが散っていくのを見ていた。
ム「マイキー!A!
オマエらもこの場から…離れろ」
モ「オレらが残る」
万「オマエら…」
天竺に裏切ったムーチョ。
モッチーに斑目。灰谷兄弟。
天竺四天王と幹部らが残る。
灰谷蘭がイザナと鶴蝶に近づき、膝を折る。
蘭「……なんやかんや…
オマエらに憧れてきたからな
大将、鶴蝶。せめて安らかに眠れよ」
蘭が2人の開いたままだった瞼を閉ざす。
蘭「しっかり見届けたぜ
オマエらの生き様」
芯の通った蘭の声は確かに敬意が込められていた。
彼が憧れた兄の姿はどんなものだったのだろうか。
いつか聞いてみたい。そう思った。
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てる。 - 初コメ失礼しました!最初は恋愛系かな??と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ!!もうめちゃくちゃ感動できます!!更新楽しみにしてまーす! (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年9月25日 18時