第58話 Pierce ページ11
*
三「いくぞー」
貴「どんとこい」
刹那、ガチャンと質素な音が聞こえた。
少し右耳にジンジンとしたしびれるような痛み。
ピアッサーを手際よく三ツ谷が外してくれる。
右耳を触ってみると確かに何かが貫通していて、随分呆気なく終わってしまったと思った。
三「こんなもんだろ」
貴「ん、ありがと」
三「化膿しねぇようにちゃんと消毒しろよ」
貴「はぁい」
少しだけ大人になった気分。
最後に三ツ谷のバイクに乗せてもらう事になったのでバイクが停めてある三ツ谷家に2人で向かう。
三ツ谷家に着くと彼は鍵を取ってくると言って家に入って行く。鍵を取りに行っただけの割には少し時間が掛かったが走って戻って来た。
三「悪ィ、ルナマナに絡まれた」
貴「お兄ちゃんいなくて寂しかったんだよ
早めに切り上げて帰ってこようか」
三「いーよ、気にすんな
……あとこれやる」
貴「うん?」
三ツ谷が持っていたのはピアスだった。
しかもいつも彼がつけている物と同じデザイン。
両手を広げてそれを受け取った。
三「あー…それ2コセットでさ
1つ持て余してたからやるよ」
貴「……いいの?」
三「一応誕生日プレゼント、のつもりなんだケド…
……気に入らなかったら───、」
貴「今つける!つけて!!」
嬉しすぎて今すぐつけたい。
貰ったピアスを両手で握りしめてそう言うと、三ツ谷は目を見開いて驚いたあと嬉しそうに笑った。
三「今すぐは無理だろ
まだホールできてねぇんだし」
貴「すぐ入れ替えればいける!」
三「やめとけ…っておい!」
三ツ谷の制止を聞かず開けたばかりのピアスを外す。
消毒液を乱暴に吹っ掛けて三ツ谷のピアスをつける。
彼が言った通り変なところに入ったりしてすんなりいかずに苦戦したが、なんとかつけられた。
貴「じゃーん!」
三「じゃーんじゃねぇ!!
血ィでてる!消毒!」
貴「あら」
三「だからやめろって言ったろーが!」
貴「嬉しくてつい」
バイクに乗ってからも右耳は少しジンジンしてて。
なんでか心臓も早く動いてる。
三ツ谷の背中は温かい。安心する。
貴「(好きだな…)」
そうか。私三ツ谷の事好きなのかぁ。
自覚をするとそれはとても恥ずかしいもので。
バイクに吹かれた風が熱を持った頬を冷やしてくれた。
三ツ谷にそのまま送ってもらい家に帰ると万次郎とエマはもう帰ってきていた。ピアスを見るなりエマに尋問された。
*
第59話 Handicraft club→←第57話 Celebration
1253人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わびすけ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます。ノンストップでの拝読お疲れ様でございました!お話が本誌に近付いているということもあり、更新が遅くなっておりますが気を長くしてお待ちいただけますと嬉しいです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 通りすがりの佐藤さん» コメントありがとうございます。そのように仰っていただけてとても嬉しいです!これからも今作を温かく見守ってくださいますと幸いです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - ううううう最高すぎます…今日この作品見つけて、面白すぎてノンストップで最新話まで見ました!!めっちゃ面白くて最高です!!!更新楽しみにしております!! (2021年9月20日 22時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの佐藤 - ぬぐぉぉ…なんだこれ最高かよ…この作品にあえてホント良かったわ〜…これからも頑張ってくださいね〜! (2021年9月20日 17時) (レス) id: fafdf4bfd0 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» コメントありがとうございます。台詞に気付いて下さって嬉しいです!イザナと何かしらの繋がりがあったらいいな…と思い組み込みました(^ ^)これからもどうぞ今作を暖かく見守ってくださると嬉しいです。 (2021年9月5日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あたた | 作成日時:2021年8月3日 7時