第2話 Mom's feelings ページ4
*
「「「エイ!」」」
道場に掛け声が響き渡る。
どうやら佐野家はおじいちゃんを師範とした空手道場を営んでいるらしい。
私と歳が近い少年少女らが稽古の真っ最中。
それをエマと一緒に覗いていた。
その奥では万次郎が1人外れて違う稽古をしている。
軽々しく自分の身長程高く跳ねそのままマットに重い蹴りをいれている。素人でも分かるその凄さに思わずエマと一緒に目を輝かせた。
万「あ、おーいA!
今の見てたー!?」
私たちが覗いていたのに気付いたのか万次郎は私の名前を呼ぶ。
そしてエマは私が万次郎と話すと何故か拗ねる。
理由はなんとなく察している。
「誰?」
万「Aとエマ。妹」
貴「初めまして…」
私たちのことを尋ねてきた初めての友達は場地圭介くん。
万次郎と幼馴染らしい。
エマと一緒に道場に入り4人で座って話す。
場「へー、オマエらオフクロが違うんだ?」
貴「そだよ」
場「外人みてぇな名前だな」
万「だろ?」
万次郎と一緒のこと言うなんて…
この2人考え方似てるんだな……
場「じゃあオレ、エドワードの”エド”」
万「オレ、マイケルの”マイキー”」
場「ディスイズアペン」
万「アイハブアウ〇コ」
「「オーマイガッ」」
楽しそうにケラケラと笑う2人。楽しそうで何よりです。
私には理解ができない面白さだったのでとりあえず苦笑いをしておく。
その空気を割く様にここに来てから滅多に話さないエマがどこか遠くを見ながら話し始めた。
エ「本当はわかってるんだ、ママのキモチ」
貴「……」
エ「ママはウチらの事嫌いだから」
そうだね。
エ「……だから捨てたって、わかってるんだ」
うん。
エ「でも、言ったんだよ?
用事が終わったら迎えにくるって──」
エマは体操座りをして顔を埋めながら涙を流した。
大きい雨粒のような涙は道場の床に落ちてゆく。
お母さんは私たちを捨てた。
用事なんてない。迎えにも来ない。
私たちが嫌い。
エマはきっと理解ができても追いついてこない。
きっと心の何処かでお母さんを待ってる。
エ「───言ったんだ」
そのうえ唯一の双子である私が先日現れた兄とばかり話していたらそれは心細くもなるだろう。
自分だけ馴染めない焦りが今のエマにはきっとある。
貴「…エマ、私がついてるから泣かないで
少しずつで良い。一緒に進んでこう?」
声を詰まらせながらもエマは確かに「うん」と言った。
*
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わびすけ(プロフ) - あかさたなはまやらわさん» 原作、場地くんファンの皆様にご不快な思いをさせていたことになりますのでご指摘とても助かります!ありがとうございます!今後とも今作をよろしくお願いします。 (2021年10月31日 13時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなはまやらわ - この作品最高です!で,気づいちゃったのですが…2話の場地くんを紹介するところで場地が馬地になってました,,細かくてすみません (2021年10月30日 22時) (レス) @page4 id: 5ef1823fc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 漆Pさん» 初めまして。そのように仰っていただけて嬉しいです!三ツ谷の登場回これから増やしていく予定ですので楽しんでいただければ幸いです。これからもどうぞ今作をよろしくお願いします! (2021年7月28日 8時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 初めまして!小説拝見させてもらってます!毎回三ツ谷がカッコよすぎて読んでるこっちもドキドキしてます(*´v`*)こんな楽しいお話書いてくださりありがとうございます!無理なく更新がんばってください! (2021年7月27日 15時) (レス) id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えるように頑張ります! (2021年7月16日 14時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年7月10日 21時