【高生紳士】すれ違い【あたなる】 (ページ4)

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終幕ページ4

そして今日は6月30日
本来ならもう式場に行って、とっくに準備を始めてる時間
でも私は今、踏切の前に居る
スマホを持ってきた
GPSがついてるから、彼はきっとここにくる
彼が来たら始めよう。これが私のおもてなし。
彼にたくさんもらった分、今度はきっちり返さなきゃ

高生「ぜぇ...ぜぇ...やっと、見つけましたよ！Aさん！」
『来たんだ』
高生「来たんだじゃありませんよ！早く行きましょう！って、裸足じゃないですか！」
『聞きたいことがあるんだ』
高生「え？」
『貴方にとって、私は何？』
高生「っ！それは、どういう...」
『分からない？なら、こう聞きましょう。貴方にとって私は、他の人より騙しやすい？』
高生「なっ！なんでそれを！」
『ねぇ、答えてくれないの？貴方は私の理想を演じなきゃダメでしょ？』
高生「そ、それは！」
『答えてくれないならもういいや』
高生「ま、待ってくれ！確かに俺は！騙すつもりで君に近づいた！でも！」
『いまさら言い訳？なんで貴方が泣いてるの？そんなにお金が欲しいの？もう二人も騙したのにまだ足りないの？』
高生「そうじゃないんだ！頼むから話を！」
『もういらない。だってこれでもうおしまいだもの』
踏切が騒々しくなり始める
『六月に結婚したら幸せになれるって、知ったのは確か貴方に言われたからだっけ』
高生「A...?」
『でも残念。私が幸せになるのは今世じゃなかったみたい』
遠くからガタンゴトンと騒がしい音がする
高生「っ！待て！」
『これが私からの最後のプレゼント』
そういって女性は、後ろに倒れこむ
その最中、うるさかったはずのその空間で、女性の声だけが、やけに明瞭に届いた
『さようなら、また会いましょう』