△23 押し倒したいくせに ページ24
「落雷で橋が壊れたらしいのよ」
「……は?」
門限が近くなって、名残惜しいからわざと時間をかけて芸者小屋から出ると、ひどい雨がふっていた。
ひとつの傘を半分こして
……いつも通り善逸の肩だけ濡らして……
いそいで牛込につながる橋へと向かった。
だけど橋の前には大きな人だかりができていてそんな会話が聞こえてきた。
「……どうしよっか」
日没が迫っていた。
宿を借りれるほどお小遣いは残っていないし、
しばらく途方にくれてたけど、
「Aちゃん、俺、安く泊まれるところ知ってる」
と、善逸が言いにくそうに口をひらいた。
「なぁんだ、早く言ってよ」
で、この状況。
そっかぁ。そういうことかぁ。
善逸が言いにくかった理由もわかる。
ここなら宿ほど高くつかないし、朝になったら
ぐるっと遠回りして、牛込に帰れるだろう。
とうとう沈黙にたえられなくなって、
「今日のわたし、魅力ない?」
と、真っ向から聞いてみる。
「いや……正直、抱きたい」
曇りガラスの外、浅草のレモン色の電気が、善逸の輪郭を、蜂蜜みたいな眼を、ちらちらと照らしてる。
「ただ……Aちゃんが、いやかと思って」
「わたしが?」
「ほら今日、あんなこと言われたじゃん」
「ああ……」
__「女がどうしても鬼滅に尽くしたいって言うなら、鬼狩りの男の、子を成しとけばいいんだよ」__
だけど、そば屋の2階に男と女があがったらどうなるかなんて知ってる、知ってて階段をのぼった。それでも善逸は。
「そりゃあヤダって言われたくねえけどさぁ……それなら、ひとりで厠いってくるから」
呆れるくらいやさしいひと。
ばかみたいに真っ直ぐなひと。
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なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時