△22 大正のラブなホテル ページ23
「……」
どうしてこうなったのか。
現代にはラブホと呼ばれる、そば屋の2階で、わたしと善逸は布団のうえで向き合ってる。
1階からは、あはは、と単にそばを食べに来た客の笑い声が、隣の部屋からはあまたるい女の声が聞こえてくる。
善逸は口をひらかないで、蜂蜜を煮詰めたみたいな瞳で、ただじっとわたしを見つめてる。
喋れよ。
こんなときに限って黙るなよたのむから。
肝心なときに使える男じゃなかったのか。
時はわたしが男にウザ絡みされたところまでさかのぼる。
△▽
「な、なんだお前」と、男はうろたえる。
「夫です」
そんなことをさらりと言って、
「俺の奥さんを困らせないでください」
と、わたしの手を引っ張っていく。
「なぁ、あんたも鬼狩りだろ!?
それなら俺の言ってることもわかるだろ?」
善逸は振り向きもしなかった。
そのあと、ふたりでじいちゃんと獪岳のもとに戻ると、「デートさせてください!!!」と、しつこく頭をさげた。
善逸いわく、おじゃま虫には先に帰ってもらって、浅草をめいっぱい楽しんだ。
善逸といると、つまらないものが、くだらない話が、ぜんぶ、綺羅綺羅してくる。
モノクロの世界に色がつくみたい、塀で寝ている猫が、川に流れる唐紅のモミジが、元気よく客引きする八百屋さんの声が、当たり前の景色が、こんなにも綺羅めいてくる。
善逸の目にも、同じ風に世界が映ってるのかな。だったら、わたしは、とてもうれしい。
ひとの気持ちが見透かせるくらい敏い善逸は、わたしを慰めようとしてくれてるのか、いつも以上にいっぱい話して、いっぱいわたしを連れ回してくれた。
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なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時