△14 くちびるちょうだい ページ15
「ね、こっちこっち」
みんなでお昼ご飯を食べ終えたあと、善逸の部屋に手招きされた。善逸はわたしが畳のうえに座ったのを確認すると、何かさしだしてきた。
これって、もしかして。わたしは息をわすれていた。善逸の顔を見つめるしかできない。
わたしの手に握りしめられているのは、高そうで、実際高いんだろう紅だった。
「Aちゃん、欲しかったんだよね?
贈り物されるの好きじゃないことわかってたけど……返さないでよぉ、カッコつかないし」
善逸がなにか言ってるけど聞こえない。
ぜんぶ右から左に抜けてゆく。
心をうばわれたの。
畳の部屋に射しこむ、やわらかくて白い日の光に照らされて、金の髪に、笑うかおに、あなたに。
脳を痺れさせる電流みたいな感覚が、もうずっと止まない。わたしが紅をくちびるにのせると、善逸はうれしそうに歯を見せた。
「……ぜんいつ」
どたんって、抱きついた勢いで、押し倒しちゃった。
善逸は畳のうえで楽しそうに笑うと、よっと、と腹筋を使って、上半身だけを起こす。
わたしは膝のうえに乗ったまま、まだ笑ってる善逸の両方のほっぺたに、手を添えた。
善逸のくちびるに、自分のそれを重ねる。
「………へっ」
ぷは、と離すと、善逸のくちびるにはわたしの紅が少しついていた。キスマークだ。善逸は真っ赤な顔で固まっている。
「ちょ、ちょっと待ってよAちゃん!!!」
むりだよ。
今だけはそのかわいい顔を、見れそうにない。
藤のにおいが吹きぬける廊下を、ふたりでバタバタ駆けていく。
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なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時