【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ8)

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第五話ページ8

雪奈side

つい、彼らに問われるまま答えてしまったが、そんなことよりも質さねばならないことがある

雪奈｢それより、十鬼衆に数えられるあなた方が、姫をお守りする立場の私に攻撃を仕掛けてきたのは何故ですか？｣

すると千耶さんは皮肉めいた眼差しで千歳さんを見やりながら答える

千耶｢・・・俺は反対したのだが、千歳がどうしてもと言って聞かぬのでな｣
千歳｢おいおい、俺だけに責任を押しつけるのか？お前だって乗り気だったろう。それに俺は、刃まで抜いてねえし｣
雪奈｢つまり、今度の一件の責任は千歳さんにあるという事ですか？｣

すると彼は軽いため息のあとに胸を張って答えた

千歳｢八瀬姫を守る役目って聞いてたから、どれくらいの腕前なのか試してやったんだよ。これも先輩の役目って奴だ。十鬼衆同士、堅いこと言うなって｣

当然と言わんばかりの言いようだが、素直に納得できない部分もある

雪奈｢ですが出会ったばかりです。十鬼衆同士と言われましても親しき仲にも礼儀ありと言うように｣

いいかけた言葉を遮るように彼が口を開いた

千歳｢そういや、涼森家って言ってたな。姓もそのまんまか？｣
雪奈｢はい。もちろん姓は涼森家ですがーー｣

そう言いかけて慌てて口をつぐんだけれど、遅かった

千歳｢古来より姓を教えるってことは、鬼として相手に信をおくって事だ。つまり。お前は俺に心を許してくれてるって事でいいよな？｣

千歳さんはからかうような口ぶりで尋ねてくるけれど

雪奈｢いえ、違います。いつもの癖でつい名乗ってしまっただけで、他意はありません。それに信を置くことと心を許すことは違うと思いますが・・・｣

私の言葉を聞いた千歳さんがボリボリと頭を掻きながら大きな溜息を漏らした

千歳｢・・・なんなんだ？このかたっくるしい会話は。里の爺様方と話している気分だぞ？｣
千耶｢千歳。お前の負けだ｣

それまで黙って会話を聞いていた千耶さんが何か言おうとする千歳さんの言葉を遮った

千耶｢八瀬姫の護衛役である涼森の姓は十鬼衆ならば当然知っていることだ。試すようなことをして悪かった。・・・だが、俺達の姓が外部に漏れることは一族の命運が左右される。故に、おいそれと口にするわけにはいかぬ｣

そして涼やかな、だけど厳しい視線を私に向けた