【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ7)

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第四話ページ7

雪奈side

突きつけられた刀が引かれると同時に、私は立ち上がって向き合う

雪奈｢ところで、あなた方は？姫のことをご存じだということは、もしかしてーー｣
千歳｢八瀬姫の招きに預かり、参上した。十鬼衆が一つ、西海九国の鬼頭、千歳だ｣
千耶｢同じく十鬼衆、陸奥六部の鬼頭、千耶｣

二人の名乗りを聞き、思わず背筋を改めて口を開いた

雪奈｢申し遅れました。私は十鬼衆の一つ、八瀬姫を護る涼森家の頭領、雪奈、と申します｣

私の名を聞いた二人の目が、やや細められる
どうやら私のことを知っているのか、値踏みされているらしい

雪奈(しかし、この二人。西海と陸奥と言っていたけど、どこの里の鬼なのか・・・。この里には、外部の者の立ち入りを拒む結界が張られている。その結界を通ることができるのは、八瀬の里の者と、各地の有力な鬼の頭領ーー十鬼衆に数えられる者たちだけ。十鬼衆はそれぞれ、里がある地域や一族の特徴にちなんだ通り名を持っているのだけど・・・)

雪奈｢通り名はいただきましたが、どこの一族の方でしょうか。性は？｣
千耶｢我々十鬼衆は、信を置く者にしか性を告げぬ。古老たちから聞かされておらぬのか？｣
雪奈｢そういえば・・・｣

子供の頃、爺様方から聞かされたような気がするが確か絢華からも・・・

A『書物で読みましたけど十鬼衆って私の本名を教えるのと同じく姓を名乗るのは信頼している者にしか教えないんじゃないのですか？』

十鬼衆でもない彼女に言われたあの日が再び脳裏に甦る
昔のことだから失念してしまっていた

雪奈(絢華はともかく、爺様方は私に姓を隠さなかったから、そのしきたり自体、廃れたものだと思っていたのだけど・・・)

彼らの口ぶりからすると、他の十鬼衆の間ではまだ通用している決まり事らしい

雪奈｢・・・私は、あなた方と同じ同じ鬼の一族で、十鬼衆の一員ですが、信用していただけないという事ですか？｣
千歳｢そう言われてもな。お前とはついさっき会ったばかりだし、信用しろってのが無理だろ｣
千耶｢俺も千歳と同意見だ。どうしても知りたいのなら、実力で我々の信頼を勝ち取ればよかろう｣
千歳｢まあ、実力じゃ無理そうだけどな。なんなら・・・色仕掛けでもいいんだぜ？｣
雪奈｢そのようなことはしません｣
千歳｢即答かよ！・・・もうちょっとこう、顔を赤らめるとかどもるとか、初々しい反応があってもいいだろうが｣
雪奈｢そう言われても思ったままを言っただけですから｣