【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ29)

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第二十六話ページ29

雪奈side

絢華のことは一旦置いておき、私は彼女を上目で見つめながら、気にかかっていた事を尋ねた

雪奈｢あの・・・今回、十鬼衆全員に召集をかけたのはなぜなのですか？他の頭領達も、不思議がっているようなのですが｣

だけど、姫が次に発した言葉は、問いに対する答えではなくーー

千羽｢雪奈、あなたまさかその格好で他の頭領達の前に出たの？｣

何故か私の格好に対しての言葉が出たのだ

雪奈｢・・・私の格好、どこがおかしいですか？｣
千羽｢おかしいわよ、まるで男の子みたい。年頃の女の子なんだから、もっと綺麗な格好で出迎えればよかったのに｣
雪奈｢いえ、私は女である前に、涼森家の頭領ですから・・・｣

そう返そうとしたが

千羽｢もうーーこっちへいらっしゃい｣
雪奈｢・・・・はい｣

さすがに、姫には逆らえない
私は言われるまま、彼女のそばへと腰を下ろす

千羽｢この簪、私があなたぐらいの年の頃に使っていた物なの。あなたにあげるわ｣

背後から私の髪を楽しそうにすきながら、姫はそう言ってくれるけど・・・

雪奈｢遠慮します。そのような貴重な品、私などにはもったいないですから｣
千羽｢いいじゃない、私はもう使わないんだもの。だったら、あなたが使ってくれる方がいいわ｣
雪奈｢ですが私は、一族の頭領で・・・｣
千羽｢ほら、じっとして。髪をとかせないじゃないの｣
雪奈｢は、はい・・・｣

その後、姫は私の髪をすきながら柔らかな口調をさとしてくる

千羽｢女の子である事と、頭領である事は矛盾しないわ。もしかしたら、今日集まった頭領の誰かのお嫁さんになるかもしれないのよ｣

お、お嫁さん？！

雪奈｢何をおっしゃってるのですか。そんな・・・お嫁さんなんて・・・それに涼森家のことも・・・｣
千羽｢あなたもそろそろ、そう言う事を考えなきゃいけない年でしょう？爺様方や絢華に言われなかったの？｣
雪奈｢それは、その・・・｣

私は言葉をつぐんでしまった

千羽｢やっぱり、言われてるのね｣
雪奈｢爺様方の要望で、絢華には何度もお見合い相手の似顔絵を見せられたのですが・・・私は頭領としてはまだまだ未熟ですし。今はそのような事、考えられません｣

話しを逸らそうとしたが