【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ26)

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第二十三話ページ26

雪奈side

雪奈｢それは本当ですか？｣

私が尋ねると、千岳さんは微笑みと共に頷く
鬼の一族というのは、人里離れた場所にひっそりと隠れ住むのが普通だと思っていたのだけど・・・・

汐見爺｢各地を放浪として得た情報というのは、八瀬姫の予言とはまた違う意味で貴重なものじゃからの。だからこそ八瀬姫も我らも、彼らの一族には一目置いているというわけじゃ｣
A｢まあ、姉さんが鬼の一族は当たり前のように隠れ住むと考えても、分かりますがね｣

絢華は苦笑いするが、その笑いはとてもありがたくない笑みだった
確かに、絢華はこの里に来る前まで旅をしていたのだから、物知りなのは当然のことだ

琴浦爺｢それに千岳は今時の若い者には珍しく、実直で責任感があるからのう｣
月島爺｢うむ。我々が亡くなったあと、十鬼衆を率いていくのは千岳だろう｣

汐爺や琴爺、そして何かと厳しい月爺も、千岳さんのことを全面的に信頼しているらしい
爺様方の言葉が照れくさいのか、千岳さんは大きな方を縮めるようにして頭を掻く

千岳｢・・・あんまり持ち上げても何も出ないぞ。十鬼衆を率いていくって何だよ｣
秦｢何を言っているんです。あなた以外に、そんな大役をこなせる者がいるとでも？｣
千岳｢おまえも、年は俺とそう変わらないだろう｣
秦｢いえいえ、私はそんな器ではありませんよ。何より、そんな役目をおおせつかるのも面倒くさいですしね｣
千岳｢面倒くさいって・・・・おまえなあ・・・｣

二人の会話を聞いている絢華は秦さんの言葉に｢それでも頭領かよ・・・｣と小さな声で呟いていた

汐見爺｢おそらく、姫の予言を聞いたらすぐに帰ってしまうとは思うのじゃが、ここにいる間だけでも、千岳から多くのことを学ぶことができるはずじゃ。良き手本とするのじゃぞ、お嬢｣
雪奈｢はい。よろしくお願いします、千岳さん。頭領としてはまだ未熟ですが、色々お教え賜りたく思います｣

私は千岳に軽く頭を下げた

千岳｢いや、そもそも俺も他人にあれこれ教えられるほど立派な鬼ってわけじゃないんだが・・・・よろしくな、雪奈。ここにいる間だけでも、仲良くやろうぜ｣
雪奈｢はい｣

私もそのつもりだ

千岳｢それに、絢華にも絵師ってどんなものか聞きたいし雪奈と同様、よろしくな｣
A｢千岳殿が期待しているほど大した仕事はしていませんが、こちらこそ宜しくお願いします｣

絢華も千岳をお辞儀をした