【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ16)

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第十三話ページ16

千歳side

雪奈に止められながらも俺はあいつの言葉を聞かず茂みから出た
何せ、あの月島爺が見込んだ奴だからな
俺は恐る恐るその女の背中に近寄った
女は幸い、歌っているのか俺の気配には気づいてねえ
相当馬鹿なんだなこいつ
ギリギリまで間を詰め、そして俺は刀を振った

千歳｢おらああ！｣

女の頭部を狙って振った
だが、そこまではよかった

ガキイィン！

刃と刃がぶつかる音が鳴る
俺は驚いた

千歳｢な、に？！｣

女は後ろを向いたまま俺の刃を短刀で防いでいたのだった

千歳(信じらんねえ・・・！後ろなのに防がれただと？！)

すると女は俺の方へ振り向き、刀を力強く弾き返した

千歳｢くっ・・・！｣

俺は素早く後ろに飛び退く

千歳(なんて強さなんだ・・・！姿は女なのにまるで男と戦ってる見てえだ！)

そう思いながらも必死で女の刃を防ぐ
雪奈どころじゃねえ
動きも素早いし相当の強者だ

千歳｢ち、ちきしょう・・・！｣

体勢を整え刀を構え直した
その時だった

グシャッ

足で何か踏んだような感触がする
恐る恐る足元を見た瞬間、俺は顔を青ざめた
俺の足の下には絵が描かれている紙が何枚も重なっていたのだ

千歳｢こ、これって・・・｣

何となくだが確信した
これはもしや・・・
顔を上げると、目の前にいる女はワナワナと肩を震わせていた
予想が的中した証拠だ

千歳｢わ、悪かった・・・！ここに紙があると知らなくてな・・・｣

言葉を紡ごうとしたその時、俺の顔の横に何かが通り過ぎた
その後ズドンと音が鳴る
振り向くと俺の背後にある木には、女がさっき持っていた短刀が突き刺さっていたのだ

千歳｢・・・｣

俺は黙っていることしかできなかった
すると女は俺の前まで歩み寄り、乱暴に俺の胸ぐらを掴んだ

？｢・・・今アナタが踏んでいるものが何なのか分かっているの？｣

女は鋭い眼光で俺に尋ねる

千歳｢あ、ああ・・・｣
？｢これは商売道具でもあり売り物でもあるのよ。どういう落とし前つけてくれるの、お兄さん？｣

何だかごろつきに絡まれてるように感じた
いつしかあの透き通った声はこの女の声にはなかった

雪奈｢そこまでにしなさい。【絢華】｣

茂みから雪奈と千耶が出てきた
千耶は呆れた顔で俺を見ていた
何なんだ今日は・・・！