【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ13)

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第十話ページ13

雪奈side

雪奈｢月爺・・・｣

このお爺さんは、月島爺こと月爺
琴爺、そしてもう一人の汐爺とともに、まだ頭領になったばかりの頃から、私を指導してくれている
琴爺からは銀狼の使役の使い方を、月爺からは体術や刀の扱い方を
そして汐爺こと汐見爺からは薬草や道具の扱い方、八瀬姫をお守りする為の様々な知識を学んでいる

千歳｢よう、月島爺。ガキの時以来だ｣
月島爺｢ようやく来おったか。背だけは一人前に育ったようだが、口のききようはなっとらんな｣

月爺は千歳にきつい一言を与えると隣にいる千耶に目を向けた

千耶｢月島翁、ご無沙汰している｣
月島爺｢うむ、千耶とは数年ぶりか。どうだ、剣の腕は上がったか？｣
千耶｢月島翁には及ばぬが一族を護るくらいには、と自負している｣
月島爺｢なるほど・・・これは楽しみだ。ここにいる間に見させてもらうぞ｣

月爺と千耶が交わす言葉には厳しいながらも親しみがあるように感じる
それに、剣の腕前について話してるということは・・・

雪奈｢お二人は面識があるのですか？｣
千耶｢月島翁とは里が近い。それもあって何度か剣を教わったことがある｣
月島爺｢千耶は剣の筋がいい。鬼の中でも一二争うだろう｣

世辞を言わない月爺がここまで言うのならば本当なのだろう
それで合点がいった
彼の先ほどの立ち振る舞い、そして私に向けられた剣の鋭さに

千歳｢待てよ。一二ってことは、もちろん一番が俺でこいつが二番ってことだよな？｣

千歳は自信満々に発言する

月島爺｢随分、自信があるようだな。お前の剣も後でゆっくりと見させてもらう｣
琴浦爺｢月島、千耶と千歳の他に剣の筋がいい娘がいるじゃろ｣

琴爺が口を挟むと月爺は思い出したような顔をした

月爺｢そういえば【絢華】もいたな｣
千歳｢ん？【絢華】って誰だ？｣
千耶｢聞いたことのない名だな。十鬼衆ではないと判断するがそのような者がこの八瀬の里にいるのか？｣

千耶が尋ねると琴爺は微笑みながら答えた

琴浦爺｢この八瀬の里に住んでいる絵師なんじゃが、見た目に反して剣術に長けておって恐らくは千耶と互角の強さかもしれない｣
千耶｢ほう・・それは興味深いな｣

千耶は興味を示したのかわずかだが口角を上げる

雪奈｢あ！｣
琴浦爺｢どうしたお嬢？｣
雪奈｢絢華を探すことを忘れていました｣

すっかりもう一つの任務を忘れていた

雪奈｢すぐに絢華を見つけてくるので皆さんは先に中に入っていてください｣

私がここから去ろうとした時だった