【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ11)

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第八話ページ11

雪奈side

程なくして、私達は八瀬姫がいらっしゃる八角堂へとたどり着いた
ここ八瀬の里におわす八瀬姫は鬼の中でも古い一族である八瀬一族の頭領
八瀬の頭領は代々に秀でた力があり十鬼衆の束ねとなっていた
秀でた力とは、夢見と言われる先を読む力。一族が関わる未来を知ることができる力
私達はこの八瀬姫の先読みの力ーー
予言によって多くの厄災から助けられてきた
その予言は自然の災害や人による厄災にかかわらず鬼の生活を護ってくれてきた
おそらく、十鬼衆の皆を呼び寄せたのもこれに関わることに違いない

十鬼衆が集められる八角堂は、八瀬の里の中でも特に奥まった場所にあり、限られた者しか出入りできないようになっているため、その静けさは格別だ
やがて、建物の中から見覚えのある方が姿を現した

？｢おお、お嬢戻ったか。その様子だと無事に出迎えできたようじゃの｣

からし色の衣をまとった爺様が、ニコニコと笑顔を浮かべながら歩み寄ってくる

雪奈｢はい、爺様。無事にお二方と会うことができました｣

このお爺さんは十鬼衆の中でも年長の三名のうちの一名、琴浦爺こと、琴爺
子供の頃から私の面倒を見てくれて、まるで本当の肉親のように接してくれている

千歳｢よう、琴浦爺！久しぶりだな！｣
琴浦爺｢おぬしは・・・千歳か？いやはや、ちと見ぬうちに大きくなったものじゃのう｣
千歳｢・・・爺さんって、ちょっと顔を合わせずにいると判で押したみてえに同じ台詞言うよな｣
琴浦爺｢そうは言うても・・・百も齢を重ねると一年がほんの一月に思えてしまうものでのう｣

琴爺は困ったような顔をする

千耶｢変わりないようで何よりだ。琴浦翁｣
琴浦爺｢おぬしは、千耶かの？こりゃまた大きくなったものじゃのう。以前、先代に連れられてここに来た時は、まだほんの子供じゃったのに。時が経つのは早いのう｣

千歳も千耶も先代の頭領に連れられて八瀬の里に来たことがあるらしい
当時の私は幼かっただろうし修行の身だったはず
こうして他の頭領達と顔を合わせるのは初めてだけど・・・・

千歳｢あんたらは本当、変わらねえよな。俺がガキの頃からずっと、爺さんのままだし｣
琴浦爺｢いやいや、そうでもないのじゃよ。ここのところ、物忘れが激しくてのう・・・もう年じゃろうか｣

琴爺がそう呟いた時、空から銀狼が羽音を立てながら降りてきた