【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ1)

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序章一ページ1

Aside

A｢どうして・・・こんなことに？｣

今から約三年前の出来事
当時、十三の私は冷たい雨に打たれながら血にまみれている姉の体を抱きかかえていた
辺りの地面のあちこちには血糊が飛び散っており、何人かの里の者が無惨に斬り捨てられていて、まるで地獄絵図のようだった

？｢A、大丈夫か！？｣

騒ぎで駆けつけた幼馴染みの和麻と里の者たちは私のところへ来る

和麻｢な・・・何なんだこれは！！｣

駆けつけた者たちはその光景に騒然とした

里の者１｢殺した奴はまだ近くにいるのかもしれん！｣
里の者２｢手分けして捕えろ！｣

里の者たちは姉たちを殺した者を探すように他の者に声をかける

和麻｢おい、しっかりしろ！｣

和麻は私の肩を揺さぶる
すると彼は姉の変わり果てた姿に気づき、息を呑む

和麻「みお・・り？」

私の姉の名前を口に出す

和麻「何で美織が・・・」
A「守れなかった・・」

私は蚊が鳴くような小さな声で呟いた

A「こうなると分かっていたのに・・・止められなかった・・」
和麻「A・・」

ポロポロと涙を零しながら私は姉の体を抱きしめる
彼女の体は信じられないほど冷たかった

A「私が・・姉様を殺したんだ・・！」
和麻「もう何も言うな！」

和麻は震える私を背後から抱き寄せた

悔しい・・
姉様を守れなかったのが・・悔しい

私は悔しさのあまり和麻の腕の中で大声で泣き叫んだ
灰色の空から降る雨は、私が零す涙よりずっと冷たかった

※

A｢・・・はっ！｣

私は無意識に布団から飛び起きる
辺りを見回すと、見慣れた景色が私の目に映した

A｢ゆ、夢か・・・｣

少し痛む頭を手で押さえ、先程のものは夢と判断する
痛みが治まると、自分の目に涙が流れていることに気づく

A｢美織姉様・・｣

亡き姉の名前を呟く
私は自分の手のひらを見つめる
あの時の光景を思い出すたび、この手に姉様と他の里の者の血がこびりついていたことが甦る

A「一刻も早く、姉様を殺した奴を見つけないと・・」

そうだ・・私の本来の目的はそれなのだから