君の声【２】

85話 ページ37

あらかじめスタッフさんから会場の入り口付近にマスコミがいると連絡があったので変装しておく
車内のカーテンの隙間から見ると10人ほど集まっていた

入り口をスタッフさんに隠してもらって会場入りする
楽屋で朝ごはんを食べながら飛鳥さんと今日のスケジュールを確認する

わたしが歌うのはオープニング・大ちゃんとのコラボ・フィナーレの3曲
フィナーレは一緒に参加しているミュージシャンの曲で一緒に歌うことになっている
練習はしてきたけど誰かと歌うのは初めてだからちょっと不安

本当は午前中から練習なんだけど、午前中は声が出づらいから練習しないことにしている
もう少し経験を積めば午前中も歌えるんだけど

暇だしリンク行こう
午前中は個人練習だから誰かしら少しでも相手してくれないかな


リンクに行けば佳菜子とあっこちゃんがいたので、おはようと声かける

明「おはよう、Aちゃんも練習？」

『朝は声出しづらいから午後から練習するの』

佳「じゃ、午後には聴けるんだね」

『人前で歌うの初めてだから期待しないで』

行ってくるね〜とリンクへ飛び出していく2人

観客席に座って練習風景を眺める
たくさんのスケーターがいるのに、目で追ってしまうのは結弦ばっかり

以前アイスショーの練習で見たときよりも軽やかなジャンプやキレイなスピンに目が離せなくなる

少し休憩するのだろうか、結弦が近づいてくる
隣に座り汗を拭きながら話し出す

「Aさぁ、おれの事見すぎ(笑)」

『あぁ〜、気づいてた？ ごめん、集中できないよね』

「大丈夫。練習は？」

佳菜子たちに言ったように話せば

「おれのせいでやんないのかと思った。朝から無理させちゃったし(笑)」

『なっ、何言ってんの!?』

「Aのせいでもあるけどね」

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