君の声【２】

61話 ページ13

結弦くんが帰国して１週間後、連絡がきた
日曜日に東京駅で待ち合わせる事にした


待ち合わせ場所に着くと遠目からでもスタイルの良さが分かる結弦くんを見つけ声をかけた

『こんにちは、結弦くん。マスクしてるけど花粉症？』

「Aちゃん、こんにちは。花粉症じゃないけど喘息あるし、念のため変装しろって母さんが言うから」

変装しなきゃ歩けないくらい有名になっちゃったのかぁ
暗くなりそうな気持ちを押さえてどこに行くか聞いた

「おれ、欲しいCDあるから見に行っていい？」

欲しいCDと言う単語にドキドキしながらいいよと返した

結弦くんは音楽が好きらしくお気に入りを見つけるため没頭しているので、あっち見てくるねと声をかけて別行動を取る

まっ、わたしのCDなわけないか
発売したのはちょうど世界選手権の時だったし
【MARIA】がデビューしたことすら知らないんだろう

CDを見つけると店員さんによる手作りPOPが目に入った
・姿を見せない謎の新人【MARIA】デビュー
・新生活を始める人にピッタリの応援ソング
・私も聴きましたが背中を押してくれる曲です
なんて書いてあり嬉しくなった

「Aちゃん、なんかニコニコしてるけどどうしたの？」

わっ、そんなに顔に出てたのか恥ずかしい

「この人デビューしたばっかなんだ。視聴できるみたいだし聴いてみようっと」

結弦くんは早々とヘッドフォンをつけ機械を操作している
どっ、どうしよう!?
結弦くんがわたしの歌聴いてるよ〜

【MARIA】がわたしだと知らない人の意見を知りたくてヘッドフォンを外す結弦くんに聞いてみた

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