君の声【２】

56話 ページ8

10月になり曲を受け取った
曲を聴きながら登下校をし、歌詞を覚えていく
放課後はもちろん、土日も1日中事務所にいることが多くなった

そんなある日、帰ろうとすると葵から話があると言われたので、誰もいない教室で話すことにした

「A、最近忙しそうだね。なんかあった？」

なんて答えようか困った
先生には話さないようにって言われたけど、葵はいつも応援してくれた
だから１番に教えたい気持ちもある

「私には言えない？」

『ちっ、ちがうよ。……わかった。話すけどみんなには内緒にしてね』

葵は話したりしないと分かってるけど、一応言っとく

『実はわたくしA Aは来年デビューすることが決まりました』

「・・・・・・・」

『あっあれっ？ 葵聞いてる？』

おーいと顔の前で手を振るけど反応無し
何回かやってると手首を掴まれた

「……んとに…ホントにデビューきまったの？」

『うん。まだ日付は決まってないけどね。今は曲がもらえたばかりで練習中なの。それで忙しくてみんなと遊べなかった。ゴメンね』

「う……うぅ………よかった…よかったね………A……」

『なっ、泣かないでよ。まだこれからなんだから、ねっ？』

「…うん………。まだ誰も知らないなら私がファン第1号決定だよね？」

『歌も聞いてないのに？』

「当たり前じゃない! Aがすっごい頑張ってるのずーっと見てたんだから。売れなくてもファン第1号は私だからね」

『売れなくてもってひどくない？(笑)』

「そうならないように願ってる(笑) もういいから練習行って」

『行ってくるね』

背中に葵の頑張れって声を受けながら練習へ向かった

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