私の名は[救世主]【転生したらスライムだった件】 (ページ20)

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67話ページ20

目的地につき、影から出る。

夜だというのに、洞窟はほのかに明るい。

その光源は、松明だ。

いつの間に作ったのか、かまどもある。

どうやら私がいない間に、洞窟でも色々改善していたようだな。

少し様変わりした洞窟に感心していると、見慣れた魔物達が近づいてくるのが見えた。

分身「おっ、本体。どした？」

片手をあげ、フレンドリーに話しかけてくる分身。

一斉に跪き、「おかえりなさいませ」と律義に挨拶するトカゲ達。

面白いほどの温度差だな、もう慣れたけど。

『いやー、色々あってね....それより、アラクネってのは？』

自然に人化し、辺りを見回す。

この洞窟は、ドラゴンがいただけあってそれなりに広いので、道を覚えないと迷いそうだ。

分身「あぁ、アラクネちゃん？あっちだよ。来て。」

真顔で焼き肉を貪りながら、迷いなく洞窟を案内する分身。

それに追随し、黙ってついてくるトカゲ達。

...分身の記憶って、私に引き継がれないんだろうか？

《告。情報接続(データリンク)により、分身体の通った道は脳内に表示できます。》

あ、オートマッピング的な感じ？

それはありがたいね。これで迷わずに済む。

分身「ついたよー。これがアラクネさ！」

言われるがままに、私は分身体が指さした方向を見た。

『....っはぁ！？』

思わず、目を疑う。

そこにいたのは、ブラックスパイダーなど比較にならない程巨大な蜘蛛。

鋼よりも硬質そうな外骨格で身を守り、関節部分以外には攻撃が通りそうもない堅固な体躯。

脚の一本一本が研ぎ澄まされた刃のように鋭く、木でも人でも簡単に貫きそうであった。

『嘘だろ....デカすぎない？』

サウラー「アタシ等もそう思いました。ナイトスパイダーって、領域の主(エリアボス)級の

魔物ですから、別に不思議ではないんですけどね」

絶句する私に、サウラーが笑いながら受け答える。

エリアボス...か。確かにこいつは強そう。

名付けにより、強化されたってことか....ん、名付け？

『そういえば分身。お前よく名付けして無事だったな？』

前回、私はトカゲ達に名付けしてスリープモードに陥った。

本体の私がそうなったのだから、分身体は壊れてもおかしくないと思う。

分身「無事じゃないよー。私の魔素量、Dランク下位ぐらいまで落ちたから。」

『D！？』

頭をかきながら笑う分身。

いや、それは笑い事じゃないだろ....