fictionｰ虚構の世界ｰ

▽ ページ15

苦しい。
苦しい。
この細い体のどこからこんな力が出るのだろう。






『やめて、つかさく…』






つかさ｢最近あまねとばっか遊んでてズルいよ！俺もAとアソびたいのに〜！｣






苦し紛れにやめてと訴える。
だけど、つかさくんは聞く耳を持つどころか、力を緩めようともしない。






(怖い…苦しい………誰か)






大きな声も出せない今、誰かに助けを呼ぶことはほぼ不可能だ。






(このままじゃ…ほんとにしんじゃう！！)


(普くん…！)






心の中で普に助けを求めた、その時だった。






普｢やめろつかさ！！！｣






教室中に響き渡る普くんの声。
その声にはつかさくんも反応を示した。






つかさ｢あまね！！来たんだぁ！｣






嬉しそうに普くんに駆け寄るつかさくん。






やっと腕を離され開放された私は、あまりの息苦しさでむせ返る。






『げほ、げほっ……はぁ、ハア、ハァ…』



普｢Aさん！！！｣






普くんは駆け寄ってくるつかさくんを無視し、そのまま真っ直ぐ私の所まで走ってきてくれた。






だが私には普くんに構う余裕はなく、ひたすらに酸素を求めて呼吸を繰り返す。






『ハア、ハア、ハア…………』



普｢Aさん…ごめん…全部俺のせいだ｣






そう言って私の背中を優しくさすり、なだめるようにふわっと私を抱きしめる。






普くんは何も悪くないのに、ごめん、ごめんと謝るのをやめない。






私を抱きしめたまま 、キッとつかさくんを睨む。






普｢つかさ｣



つかさ｢ン？なに〜？｣






悪いことをした自覚はないようで、つかさくんは満面の笑みで普くんに返事する。

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