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【愁視点】
A先輩と一緒に食堂に向かう途中、廊下を歩いていると、湊と静弥を見かけた。
2人は俺達を見て驚いた表情になっていたが、湊は握った拳を胸の前に掲げた。応援してくれているようだ。
食堂に着き、A先輩の後を追う。
着いた座席には――二階堂先輩がいた。先約とは彼のことだったようだ。
しかし、彼は俺の同席を許可したというのだから、意外なことだ。
「Aさん! と藤原くん。おつかれちゃん」
「なにそのテンション」
「お疲れ様です、二階堂先輩」
A先輩は二階堂先輩の横に座ったので、俺はその対面に座ることにした。
「そういえば藤原、お弁当は? 買ってくるなら待ってるよ」
「ああ、すみません。すぐに注文してきます」
二階堂先輩も、俺たちが来たときには何も持っていないようだったが、
「Aさん、弁当、早く見たい」
「ん、どうぞ。昨日の夕飯のあまりものだけど」
「ありがとう」
A先輩の手作り弁当を、二階堂先輩は受け取っていた。弁当箱を2つ持っているのは見たが、まさかそんな羨ましいことをしているなんて。
「どうしたんだよ、藤原くん。早く買ってこないと、休み時間終わっちゃうよ」
二階堂先輩にそう声をかけられ、はっとした。
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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/
作成日時:2023年9月5日 0時