【ツルネ】ままならない先輩・番外編【二階堂永亮】【辻峰】 (ページ17)

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もし不破の先輩だったら高校生編ページ17

【不破視点】

Aと同じ辻峰に進学してすぐに知ったのは、弓道場がないということだった。

Aは弓道部に入ったと聞いていたから、まさかの状況だ。

Aと同じ高校に入ることは最初から決めていたから学校見学なんかも来なかった。文化祭は見に来たことがあるが、学校を見るんじゃなくてAに会いに行っただけだったしな。

今日から授業が始まる。Aには昼休みに会いに行くとして、とりあえずクラスの奴らと話していた。

「なあ、アレなんだろうな。校庭の端に畳立ててあっけど」

話していたクラスメイトの1人が窓の外を見て口を開く。

「射場だよ」

「シャジョー？」

どうやらここに元弓道部員はいないらしい。

＊＊＊＊＊

昼休み。Aのいる2年3組に足を運んでみた。

「A！」

人もまばらな教室で、Aは男子と一緒に弁当を食べていた。ロン毛黒マスクのイケメンと、何故かゴム弓を引っ張っているカワイイ系の2人だ。

ドアのところから呼びかけると、3人は俺の方を見て、各々驚いた表情を見せた。

「晃士郎。どうしたの？」

「一緒にメシ食おうと思って。でも友達と食ってたのか」

「あー。この2人、弓道部」

Aに紹介された2人は荒垣さんと樋口さんというらしい。弓道は初心者でAに教わっていたとか。

俺のことはAが紹介してくれた。幼馴染だと。

「不破も一緒に食べるー？おれと荒垣は食べ終わってるけど」

「いいんすか？」

荒垣さんと樋口さんが頷いたのを確認して、Aさんの前の席に座る。

「お、Aの卵焼きじゃん」

「食べる？ん、どーぞ」

Aは平然と自分の箸であーんをしてくる。Aは絶対モテるから、こういう周りの奴らへの牽制は欠かせない。まあ、荒垣さんと樋口さんは大丈夫そうだけど。