【ツルネ】ままならない先輩・番外編【二階堂永亮】【辻峰】 (ページ13)

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「つまり、二階堂先輩も大前先生に師事していたと――」

「ちょっと待って。なんで藤原が私の母親のことを知ってるの」

「俺の師匠である西園寺先生から聞いたことがあります。大前美矢子先生……とても素晴らしい斜面の射手だったと」

「あ……なんだ、そういうこと」

慌てた様子だったA先輩は脱力して、ふぅ、と息を吐いた。

「私たちが習ってた人は、母じゃないよ。てか、私があの人に習ってたのも小3までだし」

「そうなんですか？」

「うん、死んじゃったからね。病気で。その後は母の弟子だった人たちに習ってた。で、私たちが教わってたのはその中でも一番上手い人」

大前先生が亡くなられていることは聞いていたが、もう6年前のことだったようだ。A先輩もそれを気にした様子はない。

二階堂先輩は、A先輩の話を聞いて満足そうに頷いている。

彼がこんなにわかりやすいのは珍しい気がした。と言っても、俺は二階堂先輩と親しいわけではないから直感に過ぎないが。