犬、犬を拾う【kn】

6　みらい ページ9

kn「どーゆーことやねん。」

zm「やから、ハルのことどうするんって。」

何言っとんねん。




kn「俺はハルとずっと暮らす予定やけど。」



そう言うと、ゾムは目を大きく開けた。

zm「お前、どんだけバカやねんッ！！アホかッ！！！」

怒涛の言葉責めが来る。

kn「はぁッ！？やから何言ってんねん！！」


シャオロンもトントンもショッピ君も、なぜこんなにゾムが怒っているのか分からない様子やった。


tn「取り敢えず、お前ら落ち着き？」

sha「せやせや、まずは___」



zm「ええか！？犬を捨てたり拾ったりするのは『犯罪』なんやで！！！」


間髪入れずに発されて言葉には、『犯罪』があった。



kn「……は。」


ゾムの声に驚いたのか、ハルは物陰に隠れてしまった。

いや、それどころじゃない。


kn「捨て犬を拾うのは犯罪やと？」

zm「せやで。『遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合、一年以下の懲役と10万円以下の罰金』やで。」

zm「それに、公共の場で怪我とか病気になっとる犬おったら通報しなくっちゃ駄目なんよ。」

kn「通報……。」


ハルはたしか、拾ったときはお腹が空いとっただけやったし、病院に行っても大丈夫やった。

kn「おん。怪我とか病気にはなってなかったから大丈夫やと思うで？」

shp「え、病院行ったのに拾っちゃ駄目だったこと知らなかったんすか？」

kn「……。」


くそ、医者とかも『これって捨て犬ですか？』とか聞いとってくれたら犯罪に気ぃつけたのに……！

いや、他人のせいにするのは良くないな。


zm「は、怪我とか病気になってなかったん？」

kn「？ せやで？」

sha「ええんじゃないん？」


zm「お前らアホすぎるやろ！！もし健康な状態でいとったら、それこそハルを捨てる理由なんて無いやんッ！」


……？

kn「すまん、どういうこと？」


ゾムが溜め息をついた。

tn「ええか、捨て犬とかって大体は犬が病気とか怪我になっちゃって医療費がかかるから捨てるもんやねん。」

tn「なのに、ハルは怪我とか病気になって無かったんやろ？」



zm「もしかしたら、ハルは捨てられてなくてただ道端におっただけなのかも知れへんってことやねん。」



kn「……まじか。」

ハルのいる方に視線をやる。

そこには、真っ黒な瞳で俺達の様子を伺う小さなチワワがおった。

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