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「お兄ちゃんおかえり！」
俺が帰ってきたことに気がついたAが、ぱっと顔を明るくしてリビングから出てくる。さっきまで邪なことを考えていたせいで、部屋着のショートパンツから覗く生足が眩しい。
「遅くなってごめんな。これ、簡単にお菓子とか買うてきてん」
「お菓子！？ありがとう！」
俺から手渡された袋のなかを覗き込んで、きゃあきゃあ喜んでいる。そりゃそうや、Aの好きなのばっかり買ってきた。
「わたしは映画借りてきたんだー。あ、っとその前にお兄ちゃんはご飯だね」
「おん、ええよ流しても。見ながら食べるし」
「ん」
「？」
ビニール袋を持たない方の手を、差し出してきた。まだなにか渡すものあったっけ？
「かばん」
「え、あ、ああ」
重いで、と一言添えて渡す。受け取って、よいしょよいしょと運んでくれる。その背中を見送って、俺は靴を脱ぐのにしゃがみ込むふりをして、頭を抱えた。
「(うちの妹が可愛いすぎるんですけどほんまどうにかしてくれませんかねえぇ！？)」
落ち着け、俺の積み上げてきた「優しくていいお兄ちゃん」は伊達じゃない。何年の年月が積み上がっていると思ってる？
「お兄ちゃん？できてるよ？」
「今行くー」
平静を装うのになんてもう慣れているんだ。
★
「見た！？いまのシーンがねお兄ちゃん、ファンの間で話題になってて」
「みたみた」
平静を装うのに慣れているといいながら、卑怯にも俺は食卓に夕食と共に酒を並べていた。とっくに夕食をとり終えている妹は、さっきからソファに座って借りてきた話題の映画を実況解説をしてくれている。
「‥‥」
妹が映画に夢中なのをいいことに、俺は酔っ払ってきた頭をゆるく回転させながらぼうっとそれを眺める。
映画に集中していいのにいちいち俺の方を気にして、楽しんでいるかとか、面白いシーンを教えてくれたりするのだ。
「‥‥かわええ」
ああ、可愛いな。ずっと俺のものでいてくれたらいいのに。
「(いやいや。絶対に無い未来や、わかるやろ)」
「お兄ちゃんお菓子もあるんだから、ご飯そんなに食べちゃだめだよ！」
「ん。」
「あ、終わりだー。次はこれにしよ。お兄ちゃん、これ！お兄ちゃんが見たいって言ってたやつだよ。こっちで見よ」
「え、ああ、うん」
立つと余計に酒が回る気がした。
Aの隣に体を投げ出すようにして座る。俺が座ったのを確認して、Aがいそいそと再生ボタンを押した。
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千歳(プロフ) - 櫻さん» ひえーありがとうございます！嬉しいお言葉頂戴してしまい恐縮です‥‥この２人にとっては、どんな結末になっても幸せになれないな、と思い詳しく書けなかった次第です。私のさじ加減で決めつけてしまう気がして‥‥。ありがとうございました！ (2019年9月29日 18時) (
レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - きのこ(em推し)さん» ああああ楽しんでいただけたのならよかったです‥‥！ほのぼの(？)書く事が多くてこういう系統はあまり書かなかったので‥‥！崇めないでください‥‥！でもありがとうございます‥‥！ (2019年9月29日 18時) (レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
櫻(プロフ) - 心臓がっ！心臓が痛い！！とても素敵なお話に出会えてもう言葉にできません。二人がどうなったのか読者に考えてもらえる構成が素晴らしいと思いました。 (2019年9月29日 14時) (レス) id: 9db9e664f9 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(em推し) - あぁぁっぁぁっぁあ尊いぃぃぃぃぃぃぃtn氏カッコ良過ぎるよぉぉぉ神作者様の千歳様を崇めさせてください。 (2019年9月28日 18時) (レス) id: 4906f728aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月28日 4時
