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部屋に鞄を置いて、特にすることもなくベッドに寝転がる。
ぼーっと天井を眺めていると、さっきの話がまた頭をぐるぐる回って俺の手はする、と下へ伸びていく。
「(少し、だけ。少し触ってみるだけ)」
少しで済むはずがなかったのに。誰も家にいない安心感と、押さえ込んでいたなにかがどろどろに溶けていく感覚が気持ちが良くて、やめられない。
「(あかん、こんなの嫌や。)」
体の芯が震える。熱がせり上がってくる。
「っ、」
A、
「Aっ‥‥」
眠っているAの唇を奪っている瞬間が脳裏によぎった。その瞬間に、一際強く波が来て、あ、と思ったときにはもう遅くて。
「ぅあ、あ、」
どろりと気持ち悪い感覚が、指の間に滑っていく。しばらくぼうっと微熱に浮かされて、体を横に向けたまま放心していた。
「‥‥」
手のひらに、白いべたべたしたそれがまとわりついている。
その瞬間に今までとは比べ物にならないくらいの罪悪感が、俺の胸内をえぐっていく。
俺は妹に対して、なにを思って、なにをしたのか。
違う。
「ちが‥‥う‥‥」
俺は
「おれ、は、Aを守るんや‥‥」
だって、俺は
「俺はAのお兄ちゃんなんや‥‥」
罪をもうひとつ告白しよう。
この日がまた、またひとつ、俺の悪い癖が増えた日だった。
★
「俺、君とは付き合えん。好きな子がおる」
俺はもう理解していた。俺がAへ抱く感情に名前をつけてはいけないこと。このまま他の子を身代わりにはできないこと。
女子生徒は食い下がったが、首を振って気持ちは変わらないことを告げた。泣きながらその場から去っていく。
「‥‥」
はぁ、とため息をついて背後をじろりと睨む。影がみっつ。
「いるのはわかってんねん。出てこいや」
「うわ！バレた！」
「コネシマが笑うからやろ！」
「はー！？ロボロもやばいやばい言うてたやん！」
「もったいないわトントン〜。けっこー可愛かったのに」
ぎゃいぎゃい言い合いを始める隠れていたコネシマとロボロを放置して、大先生が白々しく俺の隣に並んだ。
「で？で？好きな子って誰なん？」
「‥‥断るための嘘。そんな子おらんわ」
「えーそうなん？なら付き合っちゃえばよかったのに〜」
「ええやろ別に」
「まぁまぁ記念に帰りコロッケ食いにいこか！」
「なんの記念じゃ」
まだ口喧嘩を続ける２人をよそに、大先生が呑気にそんなことを言う。俺はもう一度ため息をついて、ロボロとコネシマの首根っこを掴んだ。
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千歳(プロフ) - 櫻さん» ひえーありがとうございます！嬉しいお言葉頂戴してしまい恐縮です‥‥この２人にとっては、どんな結末になっても幸せになれないな、と思い詳しく書けなかった次第です。私のさじ加減で決めつけてしまう気がして‥‥。ありがとうございました！ (2019年9月29日 18時) (
レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - きのこ(em推し)さん» ああああ楽しんでいただけたのならよかったです‥‥！ほのぼの(？)書く事が多くてこういう系統はあまり書かなかったので‥‥！崇めないでください‥‥！でもありがとうございます‥‥！ (2019年9月29日 18時) (レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
櫻(プロフ) - 心臓がっ！心臓が痛い！！とても素敵なお話に出会えてもう言葉にできません。二人がどうなったのか読者に考えてもらえる構成が素晴らしいと思いました。 (2019年9月29日 14時) (レス) id: 9db9e664f9 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(em推し) - あぁぁっぁぁっぁあ尊いぃぃぃぃぃぃぃtn氏カッコ良過ぎるよぉぉぉ神作者様の千歳様を崇めさせてください。 (2019年9月28日 18時) (レス) id: 4906f728aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年9月28日 4時
