新しい地を踏みしめて ページ9
「う・・・・・」
飛行機離陸時のガタガタと乱暴な揺れは、私の胃の中に大量に詰め込まれたカツ丼を混ぜこぜにしようと動いているようだった。
「大丈夫か?A」
「すみません・・・・・奢っていただいたのにこの体たらくで・・・・・」
「いやいやよう着いてきた方やって!Aはなかなか見込みあるな!」
「ありがとうございます・・・・・?」
「とりあえず着くまでに時間あるし、寝ててええよ。俺が起こしたる」
「え、でも・・・・・」
ええからええから、疲れたやろ、とキャビンアテンダントさんにブランケットを頼んで、私にかけてくれるゾムさんにすみませんと一言断って、私はこの気持ち悪さから逃れるべく、きつく目を閉じた。
元々寝付きは良い方で、そのまますうっと眠りに落ちていく。
ゾムさんがそんな私を肩肘をついて眺めていたことに気がつかず、呑気な私はそのまますやすやと寝息を立てた。
★
「いや〜・・・・・ソッコーで寝たわ」
くくく、と笑い声を押し殺しながら、ゾムは隣で眠る彼女のブランケットを直してやる。得体の知れない男が隣にいるというのに、ここは逃げ場のない空の上だというのに、無防備なことだ。
「(ほんまに変わってんなぁ)」
あなたについていきます。
と、なにかを決めた彼女の瞳は日本人には珍しい淡い藍色に見えた。というかプロポーズかな?とちょっとときめいてしまった。
グルッペンに素行調査を依頼され、ここ1週間ほど彼女の様子を見ていたのだが性格は至って真面目で特に祖父には従順。中学を卒業してからは、高校には行かずに高卒認定で高校卒業資格を取ったようだった。
「(高校に行けと説得する爺さんに、働くためと断って・・・・・か)」
なかなか苦労している娘のようである。隣ですやすやと眠る大人になりきれていない少しあどけない横顔に、ゾムは勝手に沸いた労いの気持ちをこめてよしよしと頭を撫でてやった。
「俺も寝よかな・・・・・」
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あ - すみませんご送信です。 (2019年8月31日 22時) (レス) id: 0db614de57 (このIDを非表示/違反報告)
あ - あ (2019年8月31日 22時) (レス) id: 0db614de57 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - ももさんさん» ありがとうございます!気が向いたらゾムさんがどんな報告書を上げたのか、おまけ的な要素で書いてみたいと思います(笑)需要なさそうですが(笑)これからもよろしくお願い致します! (2019年2月22日 21時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
ももさん(プロフ) - トントンのツッコミ面白いです!特に普通に続きが気になったの所がwwこれからも更新頑張ってください! (2019年2月19日 3時) (レス) id: b96ea83328 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - とうふさん» ひえーありがとうございます・・・!これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年2月14日 22時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千歳 | 作成日時:2019年1月25日 2時