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「沙々木、どこの暗殺集団を雇った？廃刀令のご時世でこの強さ、普通じゃねぇ」
その声がAのものであると、土方は遅かれながら気付いた。その佇まいも、声音も、そんな昏い気配を纏うような人物ではなかったのに。少なくとも、土方が出会った頃は親しみやすい笑みを浮かべた、根っからの善人の。だが、土方が呆気にとられている内に、状況が一気に進展する。
「ーーかかって来い」
Aが再び刀を構え直す。相対する亡霊の男も、極限にまで集中力を高め、二人きりの無音の世界が構築される。それを、土方はただ眺めていた。ほとんど同時に地を蹴り、侍の魂が交錯する瞬間を、一秒足りとも見逃すことなく、目に焼き付ける。カキン、と音を立てて、刀が半円を描くように宙を舞った。直後、武器を無防備な男に向かって、Aは刀を振り下ろす。そこに同情も、躊躇いもない。綺麗な死を与えるためだけの、真っ直ぐなその一刀は、これまで土方が出会った侍の誰よりも綺麗で、美しかった。
「……土方、いたんだな」
血の雨に降られたように、全身を赤くぬらしたAが、たった今土方に気が付いたように言った。実際、土方はこの戦闘の傍観者だ。気付かないのも無理はない。
「全員、殺したのか」
「ああ」
「ここで、何があったんだよ。どうしてオマエは……」
「復讐だよ」
Aは土方の声に被せるようにして応えた。
「全部見られちゃ話さねぇ訳にはいかねぇよな。昔、沙々木っつー友人の彼女を間違って斬っちまって、恨みを買った。んで、今夜この時間に呼び出された」
それだけだ、と至極何でもない事のように告げる。だが、初めて知った事実に対する衝撃はとてつもなく大きい。けれど、一つだけやらなければならないことがあった。これ以上言うことはないと踵を返すAの手を、土方は咄嗟に掴む。このまま彼女を放っておけば、きっと二度と会うことが出来なくなる。そんな予感がしたのだ。
「……なんだよ？」
「そんな簡単に、済ませていい話じゃねぇだろ……いい加減、隠してること全部話しやがれ」
「私がオマエ殺して逃げたらどうすんだよ？」
「俺が知る津々楽Aは、ぜってぇそんなことしねェ」
力強くそう言い切れば、Aは虚を突かれたように目を丸くした。
「随分、自信あるんだな……」
「生憎だが、俺は人を見る目はあるつもりなんでね」
「っふふ、何だそれ」
Aは思わず破顔し、声を上げて笑った。
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
