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同時刻、近藤家にて。
「……あら？」
宴会会場となっている大広間を覗いたミツバは、目的の人物の姿がないことに気付き、目を見開いた。酔い潰れた者たちに近寄って一人一人確認しても、その中にはいない。再度顔を上げて辺りを見回していると、偶然、土方の目が合う。そのまま視線を反らすのも不自然だろう。どこかぎこちない仕草で、土方の隣まで移動した。
「あの、十四郎さん」
「なんだ」
「Aさん、見ませんでしたか？」
「……A？」
土方は、心底不思議そうな顔をして言った。
「オマエと一緒にいないのか？」
「ええと、さっきまで一緒にいたんですけど、私が永倉さん達にお酒持って来る前に、お手洗いに行っていて。心配になって見に行ったらいなかったから、私てっきり……」
「部屋ぁ戻ったんじゃねぇの〜？」
爆睡している永倉の隣で、横向きに寝転がる原田が間延びした声で告げる。酔いが回って舌足らずな口調だが、まだ会話に応じることが出来る程度には、まだ意識がはっきりしているようだった。
「……そう、でしょうか」
その可能性もあるが、今までずっと共に片付けをしていたのだ。Aがミツバに一言も声を掛けることなく、勝手に自室で休むだろうか。何となく違和感が残る。すると、土方が手に持っていたお猪口を置いて、立ち上がった。
「俺が近くを見て来る。もしかしたら、散歩でもしてるかもしれねェ」
「ありがとう、十四郎さん。じゃあ私は家の中を探してみるわね」
「……おう」
土方がミツバに背を向けてから、ぶっきらぼうな返事をする。だが、隠し切れていない羞恥心を見つけ、ふふっと笑みが零れた。彼の耳が赤く染まっているのである。それを原田がにやにやと、全てを悟ったような顔で眺めていた。
※
「あと、探す所といえば……」
ミツバは厨房、トイレ、そして道場も確認したが、Aの姿は見当たらない。となれば、原田の言う事が正しかったかもしれない。急ぎ足で廊下を進み、Aの部屋の前で足を止める。障子越しに、室内の様子を伺えば、物音どころか人の気配を全く感じなかった。そっと障子の枠に手を掛けながら、僅かに期待を込めて呼びかける。
「Aさん、いますか？ミツバです」
数秒、耳をすまして返答を待つ。だが、やはり返ってくるのは沈黙だけだった。開けますね、と一応断りを入れてから、障子を横に滑らせる。そうして、視界に飛び込んで来たAの部屋の様子にーー言葉を、失った。
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
